大根丸ごと1本をスーパーで買うのは、結構勇気がいると思われる方も多いでしょう
。最近のスーパーでは、カット大根もよく販売されています。また、カット大根を2種類用意しているスーパーもあります。
そこでは「大根1/2カット(葉の部分)」「大根1/2カット(根の部分)」という2種類の名称で売られています。
スーパーが2種類を用意する理由は、大根の部位ごとに苦味が違うのでふさわしい料理を選ぶ必要があるからでしょう。
この章では大根の部位ごとの苦味や、部位ごとにふさわしい料理法をご紹介したいとおもいます。
大根の部位で苦みは違う
上部(葉っぱに近い部分)
大根の葉っぱに近い上部は、水分量が他の部位と比べて非常に多くなっています。
理由は、大根は成長点である下部から、葉っぱに近い上部へと、栄養や水分を送り続けているからです。
また、イソチオシアネート(大根の苦み成分)は成長し続ける部位(下部)に多いといわれています。
つまり、成長点ではない大根の上部には少ないのです。
したがって、大根の上部は水分量が多くて甘みが強い部位だといえるでしょう。
千切りにして大根サラダや、辛みが苦手な方用の大根おろしなどに適しています。
また大根を生で食べることで、アミラーゼ(消化酵素)が効率よく摂取できます。
真ん中の部位
大根の真ん中の部位は、上部と下部に挟まれているので、ちょうどよい水分量と、ちょうどよいイソチオシアネートの量を含んでいる部分になります。
したがって、大根自体の味を満喫する料理に適しています。
例を挙げると大根ステーキや、おでんに入れる大根、大根の煮物、ふろふき大根、また糖質オフを目的にした大根カレー(じゃがいものかわりに大根を使う)などに適した部位になります。
下部(根に近い部分)
大根の下部は、常に上部に水分を送り続けています。
したがって、大根の下部は上部に比べて水分量が少なくなっているといえるでしょう。
つまり、下部は常に成長し続けている部分(成長点)といえます。
大根は成長していると時が1番「イソチオシアネート」が多くなります。
ですので、成長点である下部は、イソチオシアネートが1番多い部位になるのです。その量は、大根の上部と比べて約10倍の量といわれています。
大根の下部は、大根の上部に水分や栄養分を送る道管が発達しています。
そのため、筋張っていて繊維質が多いです。
大根の下部自体の水分保有量は少ないですが、水分を送るための道管が発達しているので、料理をする際には水分を吸い込みやすいといわれています。
したがって、汁物(味噌汁、スープ)、漬物(漬物の素などに水分があります)に適しています。
また、筋張っている食感を生かした炒め物にも適しています。
辛い大根おろしがお好きな方には、イソチオシアネートが豊富な下部で大根おろしを作るのもオススメです。
大根の苦み・えぐみが強い原因
この章では、大根の苦味やえぐみが強くなる原因を詳しくみていきたいとおもいます。
夏場の大根は辛い
イソチオシアネートは高温に強い成分です。高温になるとイソチオシアネートが増加し続けるため、夏場の大根は部位にかかわらず辛い大根になります。
大根の皮には苦味成分が多い
大根の皮のすぐ下には、イソチオシアネートやポリフェノールといった苦味を感じる成分が多くて含まれています。
具体的には、皮の下から切り取り線のような部分までの繊維中に、この2つの苦み成分が含まれています。
ですので、大根は皮を切り取り線のような部分の内側まで包丁が刺さるように、厚めに剝いてください。苦味成分をカットすることができます。
大根の下部
大根の下部は成長点のため、他の部位と比較してイソチオシアネートが多いです。
したがって、下処理なしで調理に使うと、完成した味の中に、苦味やえぐみが多く残ったままになってしまいます。
大根の当たり外れ
大根には、実は当たり外れというものが存在するといわれています。
この原因は、大根育っている畑の環境に依存しているからです。
大根畑において水やりが少なかったり、必要以上に肥料を使用していると、大根がストレスを感じ始めます。植物が生育時にストレスを感じた場合、自分の身を守るフィトケミカルを発生させます。
大根のフィトケミカルは、主にイソチオシアネートです。したがって、季節などに関係なくイソチオシアネートが増加することにより、辛い大根ができることがあります。
苦味のない大根の見分け方
苦味やえぐみが無い大根の特徴としては、
- スラっとしてまっすぐで曲がっていない
- 葉が生き生きとして鮮度が高い
- ひげ根が少く、くるくる巻きでない
- ずっしりとした重みと鮮やかな白さを持つ
というのが挙げられます。
①スラッとしてまっすぐな大根を選ぶ
大根の苦味・えぐみの成分であるイソチオシアネートが多く発生する原因は、大根がストレスにさらされているからです。土から十分に栄養や水分を吸収できた場合には、大根が曲がらないです。スラッとまっすぐです。逆に、大根は水分や養分が足りない場合には、曲がったり二股に分かれたりします。スラッとしてまっすぐな大根を選びましょう。
②葉が生き生きとして鮮度が高い大根を選ぶ
イソチオシアネートは、大根が鮮度が落ちて古くなると増加するといわれています。したがって、イソチオシアネートの量が少ない、葉が生き生きとして鮮度の高い大根を選びましょう。
③ひげ根がまっすぐな大根を選ぶ
大根はストレスが無い状態で栽培されると、ひげ根もまっすぐなものになります。大根は栽培時にストレスを感じていると、ひげ根は「くるくる巻き」になります。したがって、イソチオシアネートの量も増えるといえるでしょう。ひげ根がまっすぐな大根を選ぶように心がけると良いでしょう。
④ずっしりとした重みと鮮やかな白さを持つ
スーパーで大根を購入する際にこの部分に注意して購入してみてください。
しかし、確認のために触ったり何度も戻したりするのはマナー違反なのでモラルを持って購入してください。
大根の苦味を消す方法(大根のえぐみを消す方法)
この章では、大根の苦味やえぐみを消す方法について詳しくみていきたいとおもいます。
大根の苦みの部分(皮)を的確に取り除く
先ほどの章でもみてきましたが、大根の苦み・えぐみが含まれている箇所は、皮からその下にある切り取り線みたいな部分の内側までです。
切り取り線みたいな部分の内側まで包丁を深め(約3㎜程度)に刺して、剝いてください。厚めの皮が残りますが、皮の漬物やきんぴらなどに使うと苦味や辛味を気にせずに、美味しく召し上がることができるでしょう。
煮物が苦くないように使う部位を選ぶ
大根の下部は成長点のため、苦味やえぐみであるイソチオシアネートが多くなっています。
逆に大根の上部では水分が多いため、煮物に使用すると煮物の味が薄まってしまいます。
したがって、ちょうどよい水分量、ちょうどいいイソチオシアネートの量を含んでいる大根の真ん中が煮物に最適な部位となります。
お米のとぎ汁などで下茹でをする
大根は事前に下処理をすると、苦みやえぐみが取り除けます。これを行うことで大根のあく抜きが出来るからです。
具体的に言うと、お米のとぎ汁を使って下茹でする方法があります。
1人暮らしなどで炊飯の回数が少ない場合には、お米のとぎ汁がすぐに用意できないことが多いです。
その場合は、お茶パック(茶葉を入れる袋)と、お米1つかみを用意してください。
大根を輪切りにカットして鍋に入れててください。
そして、大根が隠れる高さまで、お米のとぎ汁、もしくは水+米粒入りのお茶パックを入れます。
弱火でことこと茹でて、大根が透明になったら完成です。
茹でる下処理をした後に、やさしく流水洗いをすると良いでしょう。
数分間水につけておく
大根の苦味・えぐみの原因であるイソチオシアネートは、大変揮発性の高い成分です。
したがって、水もしくはぬるま湯に2~3分間つけておくと、苦み・えぐみが水に溶けだして消すことができます。
大根を生食する時に塩で味付けする
大根の浅漬けを作る時には、大根を塩もみします。
これにより、大根から苦味のある水分が出てきます。これを絞ることで、イソチオシアネートを取り除くことができます。
大根おろしの苦味を消す方法
大根を繊維に沿ってすりおろしする方法
大根おろし作る時に、大根の繊維を破壊しないようにすると苦味が発生しません。
理由は苦味成分(イソチオシアネートなど)が繊維の中に入っているからです。
遷移を無視して大根をおろしてしまうと、苦味成分が流れ出てきてしまいます。
具体的なやり方は、まず苦味の成分が少ない大根の上部を用意してください。
そして上部を縦に半分にカット。
その後大根をおろしがねに沿って縦向きおき、すりおろしてください。
大根の繊維を縦向きにすりおろした大根おろしは苦くなりません。
逆に、繊維を横向きにしてすりおろしすると、繊維が破砕されて苦くなります。
また、丸く円を描くようにやさしくすりおろしするのも有効な手段。
大根おろしをつくった後に、苦みを揮発させる方法
大根おろしを作った後に少しの間そのまま放置すると、イソチオシアネートが揮発して苦みが取り除けます。
また、大根おろしを作った後に、30秒~40秒間ほど電子レンジで加熱しても、イソチオシアネートが揮発して苦みが取り除けます。
大根は離乳食にも向いています。
栄養が豊富で乳幼児も食べやすいく初期の離乳食には、大根おろしがオススメです。
注意点としては、大根の苦味やえぐみを残したまま乳幼児に食べさせないための工夫が必要です。
具体的には、乳幼児の離乳食を作る時に、
- 大根の上部から真ん中の部位を使用した大根おろしを作る
- 大根おろしを水分ごとレンジで加熱をして苦味・えぐみを揮発させる
という2点の工夫が必要です。
また、この離乳食は多めに作って冷凍することが可能です。
下ごしらえとして必要なことは大根をすりおろすだけ。
大根の離乳食作りは、育児にかかる多大な手間を抑えるための良い対策の1つといえるでしょう。
苦い大根におすすめのレシピ
この章では、苦い大根を美味しく調理するレシピを3つご紹介させていただきます。
大根カレー
大根カレーは、カレー粉の辛さで大根の辛み・えぐみをが気にならなくなるレシピ。
じゃがいもを大根の代わりに使用すカレーです。
まず、大根を1㎝に輪切の輪切りにします。それを大さじ1のサラダ油を引いたフライパンで両面を弱火でじっくり焼きます。玉ねぎ・にんじん・肉を炒めた後、鍋に水を入れて煮込む段階で焼いた大根も一緒入れてください。
ふろふき大根
ふろふき大根は下茹でをしてから作るので、大根の苦み・えぐみを取り除けます。
また、苦み・えぐみが残ってしまった場合にも、田楽みその濃い味付けで苦みを打つ消すことができます。
大根を米のとぎ汁で下茹でをした後に、かつおぶしや昆布のダシ汁に入れて弱火で再度煮込んでいきます。市販の田楽みそをつけて完成です。
また、大根の煮物を作る際に煮崩れることがあります。面取り(大根の角を軽くカットして丸みを持たせる)をしたり、下処理に酒を利用して煮崩れないようにしましょう。
大根の味噌汁
大根の苦味が出てこないように、大根を繊維に沿って縦方向で千切りにします。
鍋に水をはって、大根と時短のためのダシパックを入れて、中火で大根を煮ていきます。大根が十分に加熱されるまで、こまめにアクをとります。これが良いあく抜きとなり、大根の苦味をだいぶ打ち消すことができます。
大根に火が通ったらダシパックを取り除き、味噌を入れて「大根のみそ汁」の完成です。
おでんの大根の苦み・えぐみが強い時のリメイク方法
大根を入れておでんを作った時に、大根の苦みが気になることがあります。この章では、苦みを取り除くためのリメイク方法について詳しくみていきたいとおもいます。
おでんのつゆを廃棄して新しいつゆでリメイク
先ほどの章で、イソチオシアネートは揮発性高いので数分水につけおく、水に溶けだすという性質があるとみてきました。
もし、おでんのつゆが苦みがひどい場合には、辛み・苦みが溶けだしているつゆを1度すべて廃棄してください。
もったいないですが、おでんとして美味しく食べられられない方がデメリットです。
再度、新しいおでんのつゆで煮こみなおすと良いでしょう。
おでんのつゆにカレー粉を入れて「おでんカレー」にリメイクする
苦味のあるおでんつゆを捨てるのはもったいない、つゆに含まれるうまみや栄養の使い道もあると考える方も多いでしょう。
そのような場合にオススメのリメイク方法があります。
作り方は、苦味・えぐみのあるおでんつゆの中にカレー粉のブロックを1つずつ入れて、味を見ながら追加していくだけです。
おでんの具材の全てのうまみや栄養素が濃縮された味わい深いカレーになります。
和風のつゆが入っているので、カレーうどんや、カレーそばという和風メニューにもふさわしい味になるでしょう。
ただし、1つだけ注意が必要です。
このメニューは和風のつゆが入っている分、普通のカレーと比較して塩の量が多いものになります。塩の量に注意する必要のある方には、体に悪いレシピになってしまいます。
煮物の大根の苦み・えぐみが強い時のリメイク方法
煮物の大根の苦みやえぐみが強い場合のリメイク方法について、詳しくみていきたいとおもいます。
すだちを入れて再度煮る
煮物の大根が苦くなったり、えぐみがひどい時には、煮物にすだち(柑橘類の1種)を入れて再度煮込むのが良いです。苦味やえぐみが緩和されます。
現在ではすだちは小袋に入ったポーションタイプもありますので、気軽にリメイク方法を試すことができます。
ポン酢を入れて再度煮る
煮物の大根が苦くなったり、えぐみがひどい時には、煮物にポン酢を入れて再度煮込めば苦味やえぐみが和らぎます。
またポン酢には「しょうゆ+ダシ+柑橘類+酢」が含まれています。こちらも柑橘類特有のさわやかさのある味に変化します。
ちなみに、酢と大根は両方とも動脈硬化の予防に役立つ食材と調味料。2つを一緒に摂取するとより効果的であるといえるでしょう。
大根/大根おろしが苦い時のまとめ
この記事では、大根・大根おろしに苦みがでる原因を探ってきました。
大根の部位ごとの特徴や、苦味やえぐみが強くなる原因についてみたあと、大根・大根おろしの苦味を消す方法を具体的に挙げてみました。
また、大根の煮物の苦味や、おでんのの大根の苦味もリメイク法を利用して緩和する方法もみてきました。大根は栄養価が高く、様々な調理法で使用できる野菜です。美味しい料理を作るために、上手に献立に取り入れてみましょう。