「雑穀」「雑穀米」という言葉は、よく目や耳にしたりすると思います。
でも、「雑穀」「雑穀米」って何なの?何が違うの?と聞かれると、よくわからなかったりしますよね。
また、
- 体にいい
- 体に悪い
- 消化が悪い
- ダイエットに効果なし
- 毒になる
など、いろいろな話を聞くけど、本当はどうなの?と思っている方もいるかもしれません。
この記事では、そんなあなたのために、「雑穀」「雑穀米」に関する様々な疑問・悩みにお答えします。
雑穀米の正しい選び方や食べ方についても具体的にお伝えしますので、是非最後まで読んでくださいね。
雑穀と雑穀米の違い
- 雑穀
-
「雑穀」とは、米・小麦以外の「穀物」を総称する言葉です。
- 穀物
-
「穀物」は、でんぷんを多く含む植物の種子のことなのですが、多くのものは、脱穀(外側の皮を取り除くこと)されているので、種まきしても芽は出ません。
- 雑穀米
-
「雑穀米」という場合は、赤米・紫米・黒米などの色の付いた古代米(日本の各地域で古来から栽培されていた米)や「玄米」を、「雑穀」に加えたものを指しています。
雑穀米の主な種類
あわ・きび・ひえ
イネ科の穀物で「うるち」と「もち」の2種類があります。お米と一緒で、「うるち」はつぶつぶ感があり、「もち」はもっちりとした粘りがあります。
たとえば、あわ・きび・ひえなどの雑穀の種類が、粒感の多いうるち、もっちりしたもちのどちらかに該当するかで名前の組み合わせが違ってきます。
例えばうるちの場合、粒感がある「うるちあわ」というものもあります。
また、「もちあわ」もあります。
このように種類と食感で名前の組み合わせが決まります。
amazonに色々な種類があるので、色々検索してみてください。
とうもろこし・高きび(もろこし・こうりゃん)
同じくイネ科で、「高きび」は赤い実の「もち種」のものが一般的。
最近、小麦・トウモロコシ・大豆に次ぐ「第4の穀物」として知名度を伸ばしているのが、「ホワイトソルガム」と呼ばれる「白高きび」。
アレルゲンである「グルテン」や、渋みのもとである「タンニン」を含まないことから、幅広い活用が期待されています。
アマランサス
ヒユ科の植物。雑穀米の中でも群を抜いた栄養バランスを誇り、プチプチした独特の食感は他にない魅力です。
そば
タデ科の植物。通常粉にして使いますが、雑穀米としてブレンドされる場合、粒状の実丸ごとで使われます。
大麦・もち麦・はと麦
「はと麦」は「麦」ではなく「じゅず玉」という植物の仲間。「ハト麦茶」で有名ですね。
「大麦」は「小麦」に含まれるグルテンがなく、でんぷんが多いのが特徴です。
「もち麦」はこの「大麦」の一種で、名前のとおりモチモチとした食感が人気。
キヌア・チアシード
「スーパーフード」として、海外セレブなどが取り入れていることで有名。
「キヌア」は、秋田県の名物「とんぶり」と同じアカザ科。NASAが「21世紀の主食になる」と言ったとか。
「チアシード」は、シソ科で「ミント」の一種。
浸水すると10倍ほどに膨らみジェル状になり、満腹感が得られることから、ダイエット食として人気。
山下屋荘介 私の三十三雑穀米 ( 300g ) 約20合分 [ 話題のスーパーフード9種配合 ] 雑穀米 キヌア チアシー…
大豆(黒豆・青豆・黄豆など)・小豆・いんげん豆・ひよこ豆など
豆には沢山の種類があります。「雑穀米」にブレンドされる場合、多くは挽き割りや焙煎した状態となっています。
黒ごま・白ごま・金ごま
誰もが知っている健康食材。脂質が多いのが特徴で、「セサミン」などのアンチエイジング成分が有名です。
玄米
お米の殻(もみがら)を取り除いただけの状態が「玄米」。
その後、「ぬか」と呼ばれる表面を削った(精白した)ものが「白米」。
精白の段階で「胚芽」を残したものが「胚芽米」です。また、玄米を水に漬けて発芽させた状態が「発芽玄米」で、「GABA」が多く含まれ、GABAは血圧を下げたり睡眠改善効果があるとされています。
玄米に関しては近年様々な研究が進んだことで、メリット・デメリットが明らかになってきました。この件に関しては、記事の後半で詳しくお伝えしますので、是非読んでくださいね!
詳しい雑穀米の種類はコチラ
雑穀米の栄養価とメリット
腸内環境を美しく
雑穀米には食物繊維が豊富に含まれており、特に不溶性食物繊維が多いのが特徴です。
不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収して膨らみ、大便のカサを増やして腸の動きを活発化させます。
また不溶性食物繊維は、人間が消化吸収しにくい成分なので、カロリーはほぼゼロです。
※雑穀米にはカロリーがあります
水溶性食物繊維は、ゆっくり胃腸内を進むので満腹感が持続し食べ過ぎを防ぐとともに、糖質の吸収をゆるやかにします。
さらに善玉菌のエサとなり、小腸から大腸にかけての微生物「腸内フローラ」を整える働きがあります。
血糖値が上がりにくい
食べた後にどれだけ血糖値が上がりやすいかを示す指標として「GI 値:Glysemic index」があります。
食後の血糖値は食品によって上がり方が違い、低GIとはこの数値が55以下のものです。
例えば
- 大麦はGI=22
- 大豆はGI=15
- 玄米はGI=55
- 白米はGI=88
となっています。
また、白米の代わりに雑穀米を混ぜることで低GI+白米の糖質を抑えることもできるのです。
血糖値が上がると、「インスリン」というホルモンが膵臓から分泌され肝臓や筋肉に糖を運びますが、その能力を超えると脂肪組織に糖が蓄えられることで肥満につながってしまいます。
反対にインスリンが少ない状態になると、「グルカゴン」というホルモンが分泌され脂肪を燃焼させる働きをするので、できるだけインスリンの上昇と分泌時間を抑えることで効率的にやせる、という「低インスリンダイエット」に、雑穀米は適しているのです。
栄養バランスが優れている
雑穀は小粒ながら良質なたんぱく質・食物繊維・炭水化物を多く含み、特にアミノ酸バランスに優れていること、さらに現代人に不足しがちなミネラル・ビタミンが豊富なので、少量で栄養バランスをとることが可能です。
雑穀米の種類によっては、良質の脂質(オメガ3系脂肪酸など)を豊富に含むものもあります。
ポリフェノールによる抗酸化作用
赤や黒などの色素があるものは、ポリフェノールが豊富であり、抗酸化作用があるとされています。抗酸化作用の他にも、ポリフェノールの種類によって様々な効能があります。
ポリフェノールの種類
アントシアニン
ブルーベリーで有名。赤米・黒米・紫米などに含まれます。
タンニン
お茶で有名なカテキンもこのタンニンの一種で、高きびなどに含まれます。抗菌作用があり、抗アレルギー作用もあるといわれています。
ルチン
そばに多く含まれ、毛細血管を丈夫にし、動脈硬化の予防や血圧を下げる効果があります。
イソフラボン
大豆に多く含まれ、女性ホルモンと同様の働きをする成分です。更年期症状の緩和などに効果があります。
フェルラ酸
玄米に含まれる成分。メラニンの生成を抑制し、美白に効果があります。
雑穀米が体に悪いといわれる原因やデメリット
消化不良を起こしやすい
雑穀米には不溶性の食物繊維が多く含まれるので、胃腸が弱い方は、膨満感、胸やけ、食欲不振、吐き気などの消化不良を起こしやすくなります。
また、大麦・玄米・ハト麦など大粒の雑穀米はよく噛まないと消化されにくいので注意が必要です。
発芽毒による危険性がある
雑穀米とは本来植物の種なので、発芽する能力があります。
つまり、発芽するための成分が含まれており、そのうち人間(動物)の体にとって毒となるものがあるのです。
発芽毒の発芽毒
フィチン酸
主に玄米に含まれ、デトックス作用というメリットがある反面、必要な栄養素である亜鉛・鉄・マグネシウム・カルシウムなども排出してしまうデメリットがあり、貧血などの副作用を引き起こす危険性があります。
アブシジン酸
玄米や黒米・アマランサス・大豆・あわ・ひえなど幅広い雑穀米に含まれる植物ホルモンの一種で、植物が乾燥する段階でストレスを感じるため生成される「ストレスホルモン」とも呼ばれます。
人体細胞内の重要な構成要素であるミトコンドリアを傷つけるため、エネルギー生成を妨げ、低体温や免疫力低下、不妊、ガンなどを引き起こす副作用があることや、「老化」の原因となる「活性酸素」を生成することが報告されています。
無機ヒ素が含まれている
「ヒ素」は自然界に広く存在し、ごく微量ですが、ほとんどの食品に含まれています。ヒ素単体ではなく、炭素を含む「有機ヒ素」と含まない「無機ヒ素」という化合物に分けられます。
玄米などの「ぬか」部分に多く含まれる「無機ヒ素」には、以下の毒性があることが報告されています。
- 短時間に大量に摂取
-
発熱、下痢、嘔吐、興奮、脱毛などの症状
- 長時間・継続的かつ多量に摂取
-
皮膚組織の変化、発がんなど
残留農薬の可能性がある
栽培方法や農薬の種類・散布時期によっては、精白されていない穀物(特に玄米)の胚芽や「ぬか」の部分に農薬が残留する可能性があります。
これも雑穀米が体に悪いと言われる原因です。
カロリーが高く太る
そもそも雑穀米は「穀物」なので、でんぷん質が多く意外と高カロリーです。
ちなみに調理前100g当たりのカロリーは、白米も雑穀米も約350kcal前後とほとんど変わりません。
また、麦類に含まれる「グルテン」は、ダイエット中には控えたい成分の一つ。
当たり前のことですが、どんなものも食べすぎると太ってしまうので気をつけましょう。
アレルギーの原因になる
消費者庁の食品表示法上、アレルギーの原因となる「特定原材料」とされているものです。
雑穀米に含まれることがあるアレルゲン
- 小麦(成分としてはグルテン)
- そば
- ごま
- 大豆
特に、「小麦」・「そば」アレルギーは劇的な症状(アナフィラキシーショック)を引き起こし命に関わるので、厳重注意が必要です。
また、米にアレルギーを起こす方もごくまれにいらっしゃいます。
また、研究段階ではありますが、鼻炎の方が鳥のエサなどの穀物粉末を長期間に渡って吸い込むことで、花粉症症状を発症するという例も報告されています。
妊婦へのリスクがある
「はと麦」には子宮を収縮させる作用があり、妊娠中の方が食べると流産のリスクがあると言われていますが、近年では研究によりそのような事実は無いとされています。
市販のハトムギ茶を妊娠中に摂取して流産や早産になるという証拠はなく,産後に市販のハトムギ茶摂取を禁ずる科学的根拠もない.したがって,妊婦が常識の範囲内でハトムギ茶を飲用もしくはハトムギ調理品を食することは,問題ないと考えた
妊娠中のハトムギ使用について
ですが、妊娠中のハト麦のリスクは以下のようなものがあるので、お医者さんに相談するのがベストです。
妊娠中のハトムギの製薬であるヨクイニンの内服については,必ず産婦人科医師の管理のもとに行うべきである
妊娠中のハトムギ使用について
ちなみに、なぜ妊娠中にハト麦は身体に悪いのかという噂が流れたのは、ハト麦に菌が繁殖していたものと推測されています。
妊娠中はハトムギ摂取を控えるべきであるという伝承については,ハトムギに麦角菌が感染し,産生された麦角アルカロイドによる子宮収縮が深く関与していたという仮説を立てた.
妊娠中のハトムギ使用について
雑穀米は食べないほうがいいのか?
「雑穀米ってけっこう危険。食べないほうがいいんじゃない?」と、ここまで読んできたあなたは思い始めているかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか?
高い栄養価があり、体にいい効果の栄養をもたくさん含んでいる雑穀米。
正しい選び方を知って、簡単な方法を取り入れるだけで安全に美味しく食べられるとしたら…食べないでいるのはもったいないですよね!
迷っている方は、是非続きもチェックしてください!
市販されている雑穀米は体に悪い?正しい選び方
市販されている雑穀米は、まさに千差万別。
もしかしたら自分の体に悪いものがあるかもしれません。
雑穀米の何を見て、どうやって選べばいいのかお悩みの方に、正しい選び方をお教えしますね!
これを読めば、体に悪くない、自分にあった雑穀米を選べるようになりますよ。
アレルギーの心配のないものを選ぶ
グルテンなどアレルギーのある方は、危険なものを避けるため、必ずパッケージ裏の「原材料名」欄を確認しましょう。
原材料中に含まれるアレルギー物質として、「小麦」「そば」は大きく表示する義務があります。
「大豆」「ごま」は義務ではなく、業者によっては表示していないこともあるので、原材料名をしっかり確認したり問い合わせるなどして心配のないものを選ぶことが大切です。
さらに、注意書きで「本品加工工場ではそば、大豆、乳成分を含む製品を製造しております」などとアレルギー物質が書かれている場合、微量混入の可能性があるので避けるようにしてください。
玄米が入っている場合の雑穀米の選び方
発芽玄米を選ぶ
発芽させてあるものは、発芽毒の心配がなく、GABAが多く含まれるなどメリットがいっぱい。
高温加熱処理されているものを選ぶ
発芽毒を無毒化するためには高温(200度以上)加熱処理することが有効とされており、処理済であることが明記されている商品があります。ただし、中途半端な高温処理だとかえって毒性が増すこともあるようなので、信頼できるショップやサイトで買いましょう。
農薬の心配のないものを選ぶ
海外から輸入されるものには、収穫後日本に入る前に殺菌のため農薬使用(ポストハーベスト)されているものがあります。
食品表示などでは、この処理の有無は不明であるため、安心のためにも日本産のものをおススメします。
また、農水省の「有機JAS認定」を受けたものは、無農薬有機栽培であることが確認されているので安心です。
自分が摂りたい栄養・効能で選ぶ
- 自分の食生活に不足しているものを補いたい
- ダイエットしたい
- 毎日のご飯に変化をつけたい
などなど雑穀米を取り入れる目的は様々だと思います。
ネットでキーワードを入れて検索したりするだけでは、ぴったりの商品が見つけられない場合、日本雑穀協会認定有資格者のオフィシャルサイトも参考にしてみてください。近くにお店がある場合、相談してみても。
単品商品から初めてみる
最近の商品には「十穀」どころか「二十穀」「三十穀」など、多くの雑穀米をブレンドしたものがありますよね。
いろいろ入りすぎて訳がわからない!という方は、単品商品から初めてみてはどうでしょう?
例えば、単品で雑穀を選ぶのは以下のようなメリットがあります。
- 「もち麦」で食物繊維をプラス
- 「ひえ」で亜鉛・マグネシウムなどのミネラル補給
などなど…単品の雑穀を複数持っておくことで目的に合わせて自分でブレンドすることができます。
また、その栄養に特化している雑穀を重点的に摂取することで、効果の実感も得られやすくなるのです。
一度に沢山入れすぎないこと、これがポイントです。
逆に、雑穀米をとりあえず食べてみたい…という方には、複数の雑穀がブレンドされているものを選ぶのも一つの手です。
その場合、最低でも国産、こだわるのであれば「有機JAS認定」のものを選ぶのが手っ取り早いでしょう。
体に悪いと言わせない雑穀米の食べ方
無毒化する
玄米は、発芽させると発芽毒を無毒化することができます。
やり方は簡単、水に浸けるだけ!(浸水)
できれば17時間以上、可能であれば24時間以上浸けましょう。
40度程度のぬるま湯につけたり発芽機能のある炊飯器で発芽させる方法がありますが、中途半端に発芽させるとかえって危険。
なので、水に漬けて発芽能力を完全に失わせる方が安全です。
常温で浸す場合、雑菌が発生しないよう、こまめに水を換えなければいけないので、可能であれば冷蔵庫に入れましょう。
大量に食べ過ぎない
多くの雑穀米に、無機ヒ素など有害物質が含まれているというのは心配ですよね。
とはいえ、平成25年12月、農水省食品安全委員会が、食品中のヒ素に関する食品健康影響評価をとりまとめ、「ヒ素について食品からの摂取の現状に問題があるとは考えていない」としています。
さらに「バランスの良い食生活を送っていただければ問題ない」と回答しています。
つまり、食べ過ぎなければ、そんなに恐れることはありません。どうしても心配な方は、胚芽やぬかの残っていない精白した米や麦を食べるようにしてください。
よく噛んで食べる
雑穀米は、白米に比べ固く歯ごたえがあるので、よく噛んで食べることが大切です。
噛むことで、つぶつぶ食感も味も楽しめますし、唾液の分泌も促進されて消化もよくなります。
- 満腹感が得られやすく食べる量を抑えられる
- 脳への血流が増える
- 顎を使うことで歯並びがよくなる
- 表情筋が鍛えられて小顔になれるかも?
などなど、雑穀米をよく噛んで食べるのは、いいことづくめ!
自分に合わないものを避ける
過去になんらかのアレルギー症状が出た場合、疑われる物質は避けましょう。
心配な方は、病院での検査やネット・薬局で入手できる検査キットで詳しく知ることができます。
ただし、費用が高額(2万弱から4万程度。治療が必要と認められれば保険適用もあり)となるので、本当に必要かどうかは要検討。
また、妊娠中・胃弱など体の状態によって避けるべき雑穀米の種類がありますので、正しい知識を身に着け、自分に合わないものは避けましょう。
雑穀米は正しく食べれば体に悪くない
雑穀米は体に悪くない!ただし、正しく選んで正しく食べれば、というのが結論です。
- 嘘や噂に惑わされない
- デメリットとメリットをしっかり理解する
- 正しい食べ方を実践する
- 少量を毎日食べる
- よく噛んで食べる
- 自分に合ったものを上手に取り入れる
これさえ守ればもう大丈夫!
さあ、あなたも雑穀米で楽しく健康的な食生活を始めてみませんか?
上記の体に悪くない雑穀米の食べ方を実践したら、あとは雑穀米を買うだけ。
雑穀米をコスパで選ぶなら!
ブレンドされている雑穀数で選ぶなら!