甘くておいしいとうもろこし。とうもろこしの食べ過ぎは身体に悪いのでしょうか。またその甘さから太るのでしょうか。この記事ではとうもろこしの食べ過ぎや糖質について解説しています。
とうもろこしの効果
プチプチっとした食感が美味しいとうもろこし。実は美味しいだけじゃなく、体にも良い食べ物です。とうもろこしの栄養で、もたらされる効果は大きく分けると次の3つがあります。
- エネルギー補給
- 健康で美しい体をつくる
- からだの巡りを整える
具体的に1つずつ、みていきましょう。
エネルギー補給
とうもろこしは、米や小麦と並んだ世界三大穀物の1つ。高温多湿な気候が生育にむいているため、主に中南米で主食として食べられています。とうもろこしを粉にして作る、メキシコのトルティーヤが有名ですね。
米と同じく主食に分類されることから、デンプンやブドウ糖などの炭水化物が多く含まれているのは想像しやすいのではないでしょうか。炭水化物の主な役割は、体を動かすエネルギーとなること。エネルギーが切れてくれば、ダルくなって疲れてしまいます。つまり、とうもろこしはエネルギー補給および疲労回復に向いている食材と言えます。
ちなみに、とうもろこし1本の可食部の熱量は150kcalほど。これは白米100g分、おおよそ子ども用茶碗1杯程度の熱量と同じくらいです。「意外と高いな」と思う方が多いかもしれませんね。
健康で美しい体をつくる
実は、とうもろこしにはビタミン類が豊富に含まれています。特にビタミンB1については、通常の野菜平均の2倍に匹敵するほど。あまり知られていないかもしれませんが、とても栄養のある食べ物です。
注目されやすいものをピックアップすると、以下のようなものがあります。
葉酸 | 赤血球を新たに生み出す |
ナイアシン | エネルギーやアルコールの代謝、皮膚や粘膜の再生、肩こりや手足のしびれ予防 |
ビタミンE | 抗酸化作用、アンチエイジング、血行を良くする |
カリウム | 血圧の上昇を防ぐ、老廃物排出、筋肉の活性化 |
アスパラギン酸 | 利尿作用で毒素排出、乳酸分解による疲労回復 |
健康効果だけでなく、アンチエイジングや老廃物排出など、美容にも気になる効果が登場してきますね。特にナイアシンは、ダイエット中にも重要な栄養素です。全身にエネルギーを行きわたらせるために必要なため、不足するとイライラやボーっとする原因となります。
とうもろこしの豊富な栄養は、健康で美しい体づくりを手助けしてくれるものになるでしょう。
からだの巡りを整える
とうもろこしは、食物繊維を多く含む食べ物です。特に、粒の皮の部分に食物繊維が多く含まれています。
食物繊維の働きは、腸内環境を整えて腸の動きを活発にすること。それによって、悪玉コレステロールが低下して腸内環境が健全になるため、便秘や大腸がん予防が期待されます。便秘解消は肌荒れの改善にもつながるので、女性にも嬉しい効果ですね。
ちなみに食物繊維には、血糖値の上昇を緩やかにする効果もあります。血糖値の急上昇は、血中の糖分が脂肪に変わる原因に。ダイエットを考える際には、是非覚えておきたいポイントです。
とうもろこしの食べ過ぎは身体に悪いのか?
さて、ここまでは、とうもろこしの嬉しい効果についてお話してきました。それでは、とうもろこしを沢山食べれば食べるだけ体に良いのでしょうか。実は、そんなことはありません。食べ過ぎが体に悪い理由は主に3つあります。
- カロリーが高いため、肥満に繋がる可能性がある
- 食物繊維が多いため、過剰摂取は逆に腸内環境が悪くしてしまう可能性がある
- 満腹感から、栄養を偏らせる原因になってしまう
まず1つ目のカロリーについて。先に、とうもろこし1本は子ども茶碗1杯分のごはんと同じくらいのカロリーだと説明しました。つまり、とうもろこしを2本、3本と食べたとします。すると、ごはんを2杯、3杯と余計に食べるのと同じになってしまうのです。それではカロリーオーバーになってしまいますよね。
次に2つ目の食物繊維については、過剰摂取すると腸内環境のバランスを崩してしまうことがあります。すると、何が起こるのか。逆に便秘や下痢を引き起こしてしまうのです。この後で少し詳しく説明します。
そして3つ目。とうもろこしは食べ応えもあり、お腹に溜まる食べ物です。とうもろこしを食べ過ぎてお腹がいっぱいになってしまい、他のものが食べられなくなる。それは栄養が偏る原因になります。食事と健康の基本は、色んな食物をバランスよく食べること。とうもろこしだけでお腹がいっぱいになってしまっては、良い食生活とは言えません。
以上3つの理由から、とうもろこしの食べ過ぎは体に良いとは言えないということになります。
とうもろこしの食べ過ぎで起きる症状
では実際に、とうもろこしを食べ過ぎてしまうとどんな症状が出るのでしょうか。
主に次の3つが考えられます。
- 腹痛と下痢、もしくは便秘
- 偏食による栄養不足
- 肥満
腹痛と下痢、もしくは便秘
この腹痛の原因となるのは、食物繊維です。腸内環境を整えてくれる食物繊維ですが、過剰摂取はトラブルの元につながります。
とうもろこしに含まれる食物繊維は、水に溶けない不溶性食物繊維に分類されます。そのため、消化が良い食べ物ではないと言えます。その結果、消化不良の起こしやすい人が食べ過ぎてしまうと、消化がうまくいかずに下痢になってしまいます。
逆に、不溶性食物繊維の過剰摂取により、便秘が悪化することもあります。少し意外かもしれませんね。このパターンは、緊張やストレスで便が下がりにくくなる人に多く見られます。元々便秘で狭くなっている腸内に不溶性食物繊維が入り込み、腸内が更に狭く、通り道の無い状態になってしまうのが原因です。
このような状態を防ぐためには、水溶性食物繊維の摂取が有効です。水溶性食物繊維が多く含まれている食品には、いも類やこんにゃく、海藻類などが挙げられます。とうもろこしばかりを食べても、腸内環境がどんどん良くなるわけではないということになります。
偏食による栄養不足
とうもろこしに限らず、偏食は他の栄養素が不足する原因になります。とうもろこしでお腹がいっぱいになってしまっては、とうもろこしには含まれない栄養素を含む食品を食べることが出来なくなってしまいます。
偏食をしたからと言って、数日で目で見える不調は起こらないかもしれません。しかし、栄養バランスの偏りは、長期的な目で見れば万病の元です。色々な食品を食べ合わせることは、栄養をバランスよく摂れるだけではなく、個々の栄養素の吸収率を高める効果があります。ひとつを食べ過ぎるよりは、色んな食材を少しずつ摂った方が良いと言えます。
肥満
とうもろこしはカロリーが高い食品です。先に述べたとおり、とうもろこし1本のカロリーは子ども茶碗1杯分のご飯と同じくらいとなります。通常の食事に加えてとうもろこしを何本も食べたとすれば、ご飯を何杯も余計に食べているのと変わりません。なので、とうもろこしを食べ過ぎることは、太る原因となると言えるでしょう。
とうもろこしの適量
さて、ここまでとうもろこしの食べ過ぎは体に良くないという話をしてきました。では実際に、どれくらいが適量で、どこからが食べ過ぎになるのか。気になりますよね。
結論から言えば、とうもろこしの適量は、大人で2本まで、子供で1本までと考えられます。その根拠となるのが、食物繊維の量です。
生活習慣病予防の観点から、食物繊維の1日の摂取目標量は男性20g以上、女性18g以上とされています。それに対して、とうもろこし1本に含まれる食物繊維の量はおおよそ6gほど。先述した通り、他の食材をバランスよく食べることも考慮すると、大人は1日2本までが目安と言えます。
一方で、子供の食物繊維摂取目標量は小学1年生で10g程度。同じく、他の食材をバランスよく食べることを考慮すれば1本が適量と言えるでしょう。
子供はとうもろこしを何歳から食べられる?
とうもろこしは、赤ちゃんの離乳食としても使える食材です。甘みがあるため、子どもにとっては食べやすくて好きな味。ただし、食べさせ方には少し注意が必要です。
ポイントは、とうもろこしは消化の良い食べ物ではないこと。生後5~6か月の赤ちゃんに与える際は、なるべく薄皮を取り除いたペーストにしてあげると良いでしょう。皮ごと与える場合は1歳ごろから、少量から様子を見て食べさせてみると安心です。
ただ、とうもろこしの皮に害があるわけではありません。消化できなかった場合、未消化で排出されるだけなので、与えすぎなければそんなに神経質になる必要はありません。
また、ごく稀ではありますが、とうもろこしでアレルギーを発症する可能性は、まるっきりのゼロではありません。もしもとうもろこしを食べさせている時に口周りや体に違和感を感じた場合、食べるのを中断し、病院へ相談しましょう。
とうもろこしはダイエットに向いている?
結論から言えば、とうもろこしはダイエット中にオススメできる食材です。理由は、ダイエットの効果をより高めてくれる栄養素をバランスよく含んでいるためです。
- 腸内環境を整える食物繊維
- 血行を促進するビタミンE、ナイアシン
- 糖質の分解・吸収を促進するアスパラギン酸
- 利尿作用のあるカリウム
どれも、体の巡りを良くしてスッキリとさせてくれる、嬉しい効果があります。
ただし、摂取の方法にはコツがあります。とうもろこしのカロリーや糖質は、ご飯に比べれば低めですが、それでも高めな食品です。なので、食に「追加」するというよりは、何かと「置き換える」ことを意識しましょう。
例えば、ご飯の一部をとうもろこしに置き換えたり、間食をとうもろこしに置き換えたり。無理のない範囲で少し工夫するだけでOKです。
とうもろこしは、旬なら生の状態で、旬では無くても缶詰で、身近に手に入る食材です。とうもろこしを程よく利用して、より良いダイエットを目指しましょう。
コーン缶をダイエット中に食べる時の注意点
年中、甘いとうもろこしを手軽に楽しめるコーン缶。とうもろこしはダイエットにオススメな食材だとお伝えしました。でも、コーン缶を食べる際に少しだけ気を付けた方が良いことをご紹介します。
それは、コーン缶には、砂糖・食塩が含まれている場合があること。せっかく気を付けて抑えていたカロリーや塩分が、コーン缶の食べ過ぎによってオーバーしてしまっては残念です。
出来るだけ生のとうもろこしを食べる、というのも1つの手ですが、難しい場合は出来るだけ無添加のコーン缶を選びましょう。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- とうもろこしは栄養たっぷりの体に良い食べ物。
- ただし、食べ過ぎは体に良くない。腹痛・下痢・便秘・栄養の偏り・肥満の原因に。
- 1日の適量は大人2本まで、子ども1本まで。離乳食として食べさせる場合は皮を取った状態で少量からスタートする。
- ダイエット中にもオススメの食材。ただし、食べ過ぎには注意。コーン缶を使う時は砂糖・塩分が含まれている場合があるのでチェック。
子どもから大人まで大人気のとうもろこし。嬉しい栄養素がたくさん含まれていることから、是非食卓に取り入れたい食材ですね。くれぐれも食べ過ぎには注意しつつ、その美味しさを楽しんでください。