キャベツは様々な献立に活用できる便利な野菜です。しかし、スーパーなどでキャベツ丸ごとを購入した場合に、キャベツ丸ごとを最後まで腐らせずに使い切るのが難しい野菜でもあります。こんな時に、キャベツが冷凍出来たら良いなと思われる方も多いでしょう。
この記事では、冷凍キャベツについて、
- 栄養面
- 日持ち
- 冷凍する時に守るべくコツ(下調理・カット法など)
- 解凍してから使用するべきか
- 冷凍キャベツを活用したレシピ
- まずくなる時の注意点
- 変色した場合はどうすればいいのか
など、多方面から詳しくみていきたいとおもいます。
キャベツは冷凍できる?
結論からいうと、キャベツは冷凍できます。
いくつかのコツを守れば美味しく冷凍できる野菜です。しかし、いくつかのコツを守らないで冷凍した場合、美味しくない野菜だともいえるでしょう。
キャベツの主な栄養素
この章では、キャベツに含まれる主な栄養素(ビタミンC、ビタミンK、ビタミンU)について詳しくみていきたいとおもいます。
ビタミンC
キャベツに含まれるビタミンCの量は非常に多いです。キャベツの葉2枚に含まれるビタミンCの量は、レモン約2/3個分のビタミンCの量とおおよそ同じ量であるといわれています。
ビタミンCの効能とは、いったいどのようなものなのでしょうか。江崎グリコのHPを引用して説明していきたいと思います。
ビタミンCは、体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというたんぱく質をつくるのに不可欠です。これより皮ふや粘膜の健康維持に役立ちます。また、病気などいろいろなストレスへの抵抗力を強めたり、鉄の吸収を良くしたりします。さらに、抗酸化作用もあり、有害な活性酸素から体を守る働きをすることから、動脈硬化や心疾患を予防することが期待できます。
引用元:「江崎グリコ 栄養成分ナビ>栄養百科>ビタミンC」
したがって、ビタミンCを摂取すると、抗酸化作用により活性酸素が抑制されるので①免疫力向上、②がんの予防、③アンチエイジングに効果があります。
ビタミンK
ビタミンKの効能とは、どの様なものなのでしょうか。江崎グリコのHPを引用して説明していきたいとおもいます。
ビタミンKは、出血した時に血液を固めて止血する因子を活性化します。また、骨の健康維持にも不可欠で、骨にあるたんぱく質を活性化し、骨の形成をうながすことも知られています。このため、ビタミンKは骨粗しょう症の治療薬としても使われています。さらに、血管(動脈)の健康にも役立っています。
引用元:「江崎グリコ 栄養成分ナビ>栄養百科>ビタミンK」
したがって、ビタミンKが不足すると①出血しやすくなったり、②止血までの時間が長くなったり、②骨粗しょう症になったり、という悪い現象が起こるといわれています。
ビタミンKは様々な食品に含まれています。
また、ビタミンKは体内でも作られる物質です。したがって、通常はビタミンKが不足することは滅多にないです。
乳幼児、高齢者、持病をお持ちの方の中には、ビタミンKが不足する方が稀にいらっしゃいます。
特に高齢者の方は、骨粗しょう症を予防する必要があります。
キャベツは野菜のカテゴリー中で、1番多くのビタミンKを含んでいる野菜。ビタミンKを効率良く摂取するために、ぜひキャベツを献立に取り入れてみてください。
ビタミンU
キャベツの汁から発見されたビタミンUは「キャベジン」という別名も持っている栄養素です。
ビタミンという名前がついていますが、正確にはビタミンではなく、アミノ酸の一種です。
ビタミンUには、胃の新陳代謝を高めたり、胃酸の分泌を促したりする効果があります。
したがって、ビタミンUは、胃潰瘍を予防する効果や、②胃潰瘍を治療する効果が非常に高い栄養素といえるでしょう。
ビタミンUは、水溶性(水に溶けやすい)ビタミンでありながら、同時に熱にも弱い物質です。
ですので、効率よく摂取するためには、キャベツの生食(生で食べること)が最適な食べ方。
代表的な食事の組み合わせの例としては、「とんかつと千切りキャベツ」です。
油で揚げてあるとんかつと千切りキャベツを一緒に食べると、キャベジンの効能によって胃酸が多く分泌されます。それにより、胸やけが起こる確率が下がります。
キャベツを冷凍すると栄養に変化はある?
キャベツを冷凍した場合には、水溶性(水に溶けやすい)であるビタミンCなどが、大幅に減少してしまいます。
一般的に野菜を冷凍すると、その中に含まれている「栄養素が多く含まれた水分」も一緒に冷凍されます。
そして、冷凍したのちに解凍すると「栄養素が多く含まれた水分」が流失。
したがって、水分量が多いキャベツを冷凍したのちに解凍すると、水分が多く流失するため、ビタミンCが大幅に減少してしまうのです。
冷凍した時に減少するのは水溶性ビタミンです。ビタミンKは脂溶性(油に溶けやすい)ビタミンですので、冷凍によって損なわれることはありません。
新鮮なキャベツの選び方
キャベツをスーパーなどで買う際に、新鮮なキャベツはどうやって見分けたらよいのかと悩まれる方も多いと思います。
新鮮なキャベツの選び方
- 緑色が濃くてツヤがある
- 生き生きとした新鮮な外葉がついている
- 重みがずっしりある
というのが、新鮮なキャベツを選ぶ時の基準になります。
キャベツ丸ごとで購入しない方も増えてきています。
キャベツ丸ごとでは量が多すぎるため、スーパーでは一人暮らし用のカットキャベツも販売しています。
カットキャベツとは、1/2個、1/4個などに切り分けて販売している商品です。
カットキャベツは、一人暮らしには適量で、かつ値段が安いので非常に便利な商品。
ちなみに、カットキャベツの場合は、先ほどの①~③までの基準に加えて、カットキャベツの切断面が褐色に変色していないかをチェックしてください。
キャベツの日持ちについて
キャベツの日持ちは、大体何日くらいなのでしょうか。
保存方法別に具体的にみていきたいとおもいます。
常温保存
キャベツは葉物野菜のため、常温保存の場合では、必ず冷暗所にて保存してください。
常温の場合は、いずれも保存期間が短いです。そのため、通常は冷蔵庫での保存になります。
冷蔵庫保存
キャベツを冷蔵庫で保存した場合は、約2週間日持ちがするといわれています。
冷蔵庫でキャベツを保存する場合は、
- キャベツの芯をくりぬき、そこに十分に水分を含ませたキッチンペーパーを詰める、
- もしくはキャベツの芯につまようじを2本~3本を突き刺す
などの処理をしてください。
そうすることで、キャベツが成長するのを防ぐことができます。
すなわち、キャベツが腐敗していくのを遅らせる作用があります。
①や②の処理をした後は、濡れた新聞紙に包んで冷蔵庫の中で保存してください。
※前述のカットキャベツの場合は、購入した時についているラップをとってください。
ラップなしの状態にして、芯の部分をくりぬき、十分に水分を含ませたキッチンペーパーを詰めてください。
その後、濡れた新聞紙で包んで冷蔵庫にで保管してください。
冷凍保存
キャベツが安い時にキャベツ丸ごと1玉を買ってしまい、冷蔵庫内で腐らせた経験がある方は多いと思います。
一人暮らしや核家族の場合、冷蔵保存期間の2週間以内に、キャベツ丸ごとを食べきるのは大変難しいです。
その場合には、キャベツの冷凍保存がオススメです。
キャベツを適切に冷凍保存するためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
それを簡潔に言うと、
- 生のままか、茹でるか
- どの様にキャベツをカットするか
という大きな条件があります。
生のままか、茹でているのか、また、キャベツのカット法はどれを用いるのかによって、キャベツの日持ちは大幅に異なるといえるでしょう。
さらに、日持ちの点だけではなく、その冷凍方法ごとに料理法も異なってきます。次の章から、詳しくみていきたいとおもいます。
キャベツの冷凍は茹でてからか生のままか?
冷凍キャベツを作る時、生のまま冷凍するのか、あるいは、茹でてから冷凍するのか。という2つの問題があります。
どちらが正解なのでしょうか。
答えは、どちらも正解です。
次の章から詳しくみていきたいとおもいます。
生のままのキャベツを冷凍する場合
キャベツを生のまま冷凍する場合の日持ちは、最短で2週間~最長で1か月といわれています。
それは、キャベツは水分を多く含んだ葉物野菜のため、冷凍焼けが起こる可能性が高いからです。
この章では①生のままのキャベツの冷凍方法、②生のままのキャベツを使用したレシピについて、具体的にみていきたいとおもいます。
生のまま冷凍したキャベツを使用した冷凍方法
- キャベツを流水洗いをしたのちに、外側の葉を取り除く。
- キャベツの内側の葉(2~3枚)をざく切り(2~3㎝の幅でカットする切り方)にする。
- キッチンペーパーで良く水分をふき取ってから、冷凍用ジップロックに入れて冷凍庫に保存する。
生のまま冷凍したキャベツを使用したレシピ
生のままのキャベツを冷凍すると、塩もみしたみたいに「しんなりとした食感」になります。
したがって、オススメの調理法としては、①しんなりとした食感を生かした「あえもの・コールスロー」、②加熱調理をする場合には、解凍せずにそのまま「炒め物や汁物」が適しているといます。
具体的なレシピについては、のちの章でご紹介したいとおもいます。
※生のままのキャベツをカット後に、洗わないで冷凍する方法もあります。
野菜を洗う目的は、野菜に付着した農薬や土を落として、安全に料理に使用することです。
のちの章でみていきますが、冷凍キャベツを使用したレシピでは、冷凍状態のまま使用するレシピも多いので、洗わないで冷凍することは避けてください。
茹でたキャベツを冷凍する場合
キャベツを茹でてから冷凍する場合は、最短1か月~最長2か月の日持ちがするといわれています。
この章では、
- 茹でたキャベツの冷凍方法
- 茹でたキャベツを使用したレシピ
について具体的にみていきたいとおもいます。
キャベツの外側の葉はどうすべきか
キャベツの外側の葉はどうすべきかという問題があります。
キャベツの外側の葉は栄養が多い部分ですので、もちろん料理に使用できます。
捨てずに美味しく料理してください。
しかし、外側の葉と内側の葉は、葉の硬さや葉の繊維の量が異なっています。
。もし、外側の葉を冷凍したい場合は、外側の葉だけを集めてカットして冷凍してください。
茹でたキャベツを冷凍する方法
①キャベツを流水洗いをしたのちに、外側の葉を取り除く。
②キャベツの内側の葉をざく切り(2~3㎝の幅でカットする切り方)にする。
③カットしたキャベツを熱湯で10~15秒ほど茹でる。
④ ③のキャベツを「冷水が入っている大きめなボール」に入れて「色止め」をする。ちなみに「色止め」とは、葉物野菜を茹でた時に出た鮮やかな葉の緑色をそのままに保つ方法のことです。具体的なやり方としては、茹でた後にすぐに冷水につけて緑色を安定させるという方法です。
⑤キッチンペーパーで良く水分をふき取ってから、ジップロックに入れて冷凍庫に保存する。
茹でたキャベツ冷凍をしたものを使用するレシピ
茹でたキャベツを冷凍保存すると、シャキシャキとした食感が残ります。
したがって、オススメの調理方法は①冷凍の状態まま汁物に入れる、②軽く茹でてから水気を絞り、あえもの・餃子の具などに使用することです。
餃子の具にする冷凍キャベツは、基本的にみじん切りタイプ。
みじん切りは、空気にふれる切断面が多いです。
解凍してから、キャベツのみじん切りを使用すると、空気に触れる切断面から多くの水分が流失してしまいます。
これが流失してしまった場合栄養素やうまみも流出しさらには、まずくなります。
キャベツのカット法ごとの日持ち
前の章では、冷凍キャベツを作るために、生のまま、あるいは茹でるのか、について詳しくみてきました。
生のままでも、茹でる場合でも、キャベツをカットしなくてはなりません。キャベツをカットするには、どの様なカット法があるのでしょうか。
この章では、主なカット法である、①ざく切り、②千切り、③みじん切りをご紹介しつつ、それぞれのカット法ごとの日持ちについても詳しくみていきたいとおもいます。
ざく切り
ざく切りとは、野菜を2~3㎝の幅で切る切り方のことです。ざく切りにすると野菜は短冊状になります。
キャベツをざく切りにして冷凍した場合の日持ちは、約1カ月といわれています。
ざく切りキャベツは、生のまま冷凍、もしくは茹でてから冷凍の両方の冷凍保存法に適しています。
※乱切りというカット法もあります。乱切りとは、長さが長い野菜の大きさを一定にするためのカット法です。
長ネギ、にんじん、ゴボウなどで主に使用カット法です。具体的なやり方は、長さが長い野菜を回しながら切っていき、大きさをそろえてカットしていくことです。
千切り
千切りとは、野菜を1~2㎜の幅で切る切り方のことです。千切りにすると野菜は糸状になります。
キャベツを千切りにした場合の日持ちは、約2週間といわれています。
千切りキャベツは、生のまま冷凍に適しています。
※千切りに似た「細切り」というカット法があります。
これは、野菜の幅を約3㎜でカットする方法のことです。千切りの約3倍の太さになります。
①調理をした時に食べやすい、②その調理方法で野菜に味がなじみやすいかどうかの基準で、野菜のカット法を選ぶといわれてます。細切りの場合は、通常「きんぴら」の調理に使用されるカット法です。
細切りでキャベツをカットして鍋料理に使用することはあります。
しかし一般的に、キャベツを鍋料理に使用する場合はざく切りのカット法を用います。他の材料と一緒に加熱している鍋料理には、材料の加熱時間が他の材料と大きく異なる「細切りキャベツ」はあまり適しません。
みじん切り
みじん切りとは、野菜を縦に1~2㎜に切り、更に横にも1~2㎜程度に切り、1~2㎜の四角状に細かく切る切り方です。
キャベツをみじん切りにした場合の日持ちは、約2週間といわれています。
みじん切りキャベツは、生のままの冷凍に適しています。
キャベツのカット法ごとの冷凍方法(3種類)
この章では、キャベツのカット法3種類ごとの冷凍方法について、具体的に紹介させていただきたいとおもいます。
ざく切りキャベツの冷凍方法
ざく切りキャベツの冷凍方法は、①生のまま冷凍する方法、②茹でてから冷凍する方法の2種類があります。具体的な手順は下記のとおりです。
生のままのざく切りキャベツの冷凍方法
両方の道具が清潔でないと、冷凍中でも若干の雑菌が発生するため、キャベツが早く傷みますので注意しましょう。
それをまな板の上で1/4個にカットします。
切ったものは2~3㎝の短冊状になります。
それを2つ折りにしながら、キャベツの水分を良くふき取る。この時に余分な水分が残っていると、冷凍キャベツが、早く傷んでしまいます。良くふき取りましょう。
良く水分をふき取ったキャベツを適量に小分けして、ジップロックに入れる。
⑤を冷凍庫に保存する際は、できる限り平たく入れてジップロック内の空気を抜いておく。理由は、ジップロック内の空気の量が少なくなり、キャベツが傷むのが遅くなるからです。
茹でたざく切りキャベツの冷凍方法
清潔な包丁とまな板を用意してください。両方の道具が清潔でないと、冷凍中でも若干の雑菌が発生するため、キャベツが早く傷みます。
②流水洗いをしたキャベツの外側の葉を取り除く。それをまな板の上で1/4個にカットします。
③ ②の1/4個のキャベツを、更に2~3㎝の幅でカット(ざく切り)します。切ったものは2~3㎝の短冊状になります。
④ ③でカットしたキャベツを熱湯で10~15秒ほど茹でる。
⑤ ④のキャベツを冷水が入っている大きめボールに入れて、色止め(キャベツを茹でたあとの葉の緑色を鮮やかなままに安定させるために、茹でたのちにすぐに冷水に入れる調理法)をします。
⑥ ⑤のキャベツをキッチンペーパーで良く水分をふき取ってから適量に小分けして、ジップロックに入れる。
⑦ ⑥を冷凍庫に保存する際は、できる限り平たく入れてジップロック内の空気を抜いておく。
千切りキャベツの冷凍方法
千切りキャベツは、生のまま冷凍する方法が適しています。具体的な手順は下記のとおりです。
清潔な包丁とまな板を用意してください。この道具が清潔でないと、冷凍中でも若干の雑菌が発生するため、キャベツが早く傷みます。
流水洗いをしたキャベツの外側の葉を取り除く。それをまな板の上で1/4個にカットします。
②の1/4個のキャベツを、更に1~2㎜の幅でカットします。切ったものは1~2㎜の糸状になります。
③の糸状のキャベツを大きめのボールに入れて、塩(小さじ1/2)を全体にまんべんなく振りかけます。
④のキャベツを軽く手でかき混ぜて、5分ほどそのまま置いておきます。
5分間経過したら⑤のキャベツをキッチンペーパーの上に広げる。それを2
つ折りにしながら、キャベツの水分を良くふき取る。
この時に余分な水分が残っていると、冷凍キャベツが、早く傷んでしまいますので良くふき取りましょう。
理由は千切りキャベツの場合、糸状に切るので他の切り方と比べて切断面が多いからです。
つまり、空気に触れる部分が多いので、その分早めに傷みやすいです。
それを防ぐために、冷凍する前に1度塩もみをする必要があります。
良く水分をふき取ったキャベツを適量に小分けして、ジップロックに入れる。
⑦を冷凍庫に保存する際は、できる限り平たく入れてジップロック内の空気を抜いておく。
みじん切りキャベツの冷凍方法
みじん切りキャベツは、生のまま冷凍する方法が適しています。具体的な手順は下記のとおりです。
清潔な包丁とまな板を用意してください。両方の道具が清潔でないと、冷凍中でも若干の雑菌が発生するため、キャベツが早く傷みます。
流水洗いをしたキャベツの外側の葉を取り除く。それをまな板の上で1/4個にカットします。
②の1/4個のキャベツを、更に1~2㎜の幅でカットします。切ったものは1~2㎜の糸状になります。
③の糸状のキャベツを大きめのボールに入れて、塩(小さじ1/2)を全体にまんべんなく振りかけます。
④のキャベツを軽く手でかき混ぜて、5分ほどそのまま置いておきます。
5分経過したら⑤のキャベツをキッチンペーパーの上に広げる。それを2つ折りにしながら、キャベツの水分を良くふき取る。
⑦良く水分をふき取ったキャベツを適量に小分けして、ジップロックに入れる。
⑦を冷凍庫に保存する際には、できる限り平たく入れてジップロック内の空気を抜いておく。
キャベツの冷凍保存時の塩もみの重要性
ここまで、冷凍キャベツを作るために「塩もみ」が必要であると説明をしてきました。
この「塩もみ」をすることで冷凍する前に、キャベツから余分な水分を排出させることができます。
冷凍した野菜を解凍すると、水分だけではなく、うまみや栄養素も一緒に排出してしまいます。
事前に余分な水分を排出するので、冷凍キャベツは解凍しても、うまみや栄養素をあまり逃がさずに美味しく食べることができます。
また、カットしたキャベツは水分が排出しやすいです。したがって事前に「塩もみ」をしておくことが重要だといえるでしょう。
※「塩もみ」に似た言葉で「塩茹で」があります。「塩茹で」とは野菜をお湯で茹でる時に、少量の塩をくわえることで、野菜の色を鮮やかにしたり、野菜に下味(塩味)をつけるための調理法です。冷凍キャベツを作る際に塩を使用するのは、余分な水分を事前に排出して、キャベツが酸化するのを遅らせるのが目的です。「塩茹で」では冷凍キャベツを作る際の目的とは一致しないので、この記事では「塩もみ」をご紹介しています。
冷凍キャベツは解凍してから使うべき?冷凍キャベツの使い方
冷凍したキャベツを使用する時は、冷凍状態のまま使用するべきでしょうか。また、冷凍状態から解凍して使用するべきでしょうか。この章で詳しくみていきたいとおもいます。
あえもの・コールスロー
「あえもの・コールスロー」のレシピには、自然解凍、冷蔵庫内での解凍、もしくは電子レンジで解凍した冷凍キャベツ(生のまま)を使用します。
キャベツを生のまま冷凍すると「しんなりした食感」になるので「あえもの・コールスロー」のレシピに適しています。
汁物(スープ)・鍋物
「汁物(スープ)・鍋物」のレシピには、冷凍キャベツを解凍せずにそのまま入れて使用します。
冷凍した野菜は、解凍した時に水分と一緒にうまみや栄養素も排出しています。したがって、解凍時に排出する水分ごと料理に使用できる「汁物(スープ)・鍋料理」は冷凍キャベツに適しているといえるのです。
また、冷凍キャベツは細胞壁が壊れているので加熱した状態に近いです。そのため、加熱時間も短くて済みます。
炒め物
「炒め物」のレシピには、冷凍キャベツを解凍せずにそのまま使用します。理由は、冷凍キャベツを解凍してから使用するとべちゃべちゃになってしまい、炒め物にはふさわしくない食感になってしまうからです。
また、冷凍キャベツを炒め物に使用する場合は、他の野菜に火が通ってから最後に入れてください。
冷凍したキャベツを使ったおかず/レシピ
この章では、冷凍キャベツを使用したレシピを3点ご紹介したいとおもいます。
コールスロー
材料(2人前)
- 冷凍千切りキャベツ(300g)
- 冷凍粒コーン(大さじ2)
- にんじん(50g)
- 塩(小さじ1/3)
- マヨネーズ(大さじ1と1/2)
- レモン汁(大さじ1/2)
- 塩・コショウ(少々)
①冷凍千切りキャベツ(300g)、および冷凍粒コーンg(大さじ2)を、耐熱のボールに入れて、ラップを軽くかける。
② ①をボール事ごと電子レンジ(500W)に入れて、3分間加熱する。
③ ②を少し冷ました後に、キッチンペーパーの上に拡げて、1/2に折りたたみながら水分を良くふき取る。
④にんじんを千切りに切った後に、皿の上に拡げる。そのにんじんにまんべんなく塩(小さじ1/3)を振りかけて、5分ほどそのまま置いておく。
⑤ ④もキッチンペーパーの上に拡げて、1/2に折りたたみながら水分を良くふき取る。
⑥ ①で使用したボールとは別のボールを用意する。①のボールは水分が残っています。そのまま使用すると、コールスローが水っぽくなってしまい美味しく出来上がりません。料理を美味しくするために、ぜひ、ひと手間をかけてみましょう。
⑦ ⑥のボールの中に、マヨネーズ(大さじ1 1/2)、レモン汁(大さじ1/2)、塩・コショウ(少々)をすべて入れて、スプーンで良くかき混ぜる。
⑧ ⑦の中身を小さな別のスプーンですくって、味見をしてみる。酸味(酸っぱい味)が足りないようなら、レモン汁をあと2~3滴くわえる。塩味が足りないようならば、塩・コショウをもう少々加えて、再度味見をする。味見は料理を美味しくするひと手間といわれています。ぜひ、ひと手間をかけてみましょう。
⑨ ⑧の中にキャベツ、粒コーン、にんじんを入れて良くかき混ぜます。
⑩ ⑨を大き目なお皿に全部もりつけて、お召し上がりください。
お好み焼き
材料(2人前)
- 冷凍千切りキャベツ(200g)
- 豚バラ肉(6枚)
- お好み焼きミックス粉(100g)
- 水(100㏄)
- 卵(2個)
- 冷凍粒コーン(大さじ2)
- 紅ショウガ(適量)
- 天かす(適量)
- ソース(お好み焼き用ソースもしくは中濃ソースをお好みの量)
- マヨネーズ(お好みの量)
- かつおぶし(お好みの量)
- 青のり(少々)
- サラダ油(大さじ2)
①大き目のボールにお好み焼きミックス粉(100g)、卵(2個)、水(100㏄)を入れて、菜箸(さいばし)でダマにならないように良く混ぜます。
② ①に冷凍千切りキャベツ(200g)、冷凍粒コーン(大さじ2)、紅ショウガ(適量)、天かす(適量)を入れて、菜箸で全体が良く混ざるように念入りにかき混ぜる。2人前の生地になるので、焼く時には半分の量のみ使用していく。
③フライパンにサラダ油(大さじ2)を入れて、中火でフライパンを熱する。
④ フライパンが温まったら、火はつけたままで豚バラ肉3枚をフライパンの中央に「川の字の形」で引いていく。その際にぴったりと並べて、できる限り重ならないように、豚バラ肉3枚を「川の字の形」に近づける。
⑤「川の字の形」の豚肉の上に、お玉をつかい②の生地半分の量を、均等の厚さで丸型になるように敷いていく。
⑥ ⑤をそのまま中火で2分間焼いた後、生地をフライ返しでひっくり返す。
⑦ そのままフライパンにフタをして、さらに2分半蒸し焼きにする、冷凍キャベツを使用しているので生地に火が通る時間が少なくて済みます。理由は、冷凍によりキャベツの内部に含まれる水分が膨張して細胞壁が破砕されるからです。細胞壁が破砕されるということは、加熱したのと同じような状態になります。したがって、冷凍キャベツは加熱する時間が短くて済むのです。
⑧ ⑦をお皿に盛り、生地の上からソース(お好み焼き用ソースもしくは中濃ソースをお好みの量)をかけて、マヨネーズ(お好みの量)を塗り、かつおぶし(お好みの量)、青のり(お好みの量)をふりかけて、お召し上がりください。
※お好み焼きミックス粉には、小麦粉・ダシ汁・ベーキングパウダー・長芋・粉末かつおぶしなどが含まれます。今回は時短のために使用しています。
キャベツの細胞壁が破砕しているため、冷凍キャベツを使用したお好み焼きは加熱時間が少なくて済みます。冷凍庫にお好み焼き用の冷凍キャベツをストックしておくのは、料理が時短でできる非常に良い方法の1つであるといえるでしょう。
離乳食中期用キャベツ和風うどん
離乳食に冷凍キャベツを使用する場合には、作り置きの冷凍キャベツを使用するのではなく、まずキャベツを使用した離乳食を作り、それを冷凍すると良いでしょう。
材料(10個分)
- キャベツ(60g)
- にんじん(1/2本)
- うどん玉(1玉)
- めんつゆ(大さじ1)
- 水(600㏄)
①キャベツとにんじんは流水洗いをしてから、赤ちゃんが食べやすいようにみじん切りにする。
②うどんはざるを用いて流水洗いをする。ぬめりをとったあと、赤ちゃんが食べやすいようにみじん切りにする。
③鍋に水(600㏄)を入れて沸騰させる。
④沸騰後、③の鍋の中にみじん切りしたキャベツ、にんじん、うどんを入れて、さらにめんつゆを入れる。
⑤ ④を弱火で15〜20分、ことこと煮込む。途中でアクは取り除く。
⑥ ⑤冷凍保存の容器に10個に小分けして入れて、冷凍庫にて保存をする。
⑦冷凍キャベツ和風うどんの小分け1個分を食事の際に電子レンジで1分間解凍する。その後、お鍋の中に入れて、弱火で少し温めてから、幼児用お椀にいれてお召し上がりください。
※うどんに使用されている小麦粉は、赤ちゃんの生後6か月から食べることができます。小麦アレルギーの心配があるので、最初は小さじ1ずつ様子を見ながら赤ちゃんに食べさせてください。食べるのを嫌がったり、食べた後に湿疹などの変化がないかどうか、よく注意をしてください。
※今回は時短のためにダシ汁ではなく、めんつゆを使用しています。
美味しい冷凍キャベツを作るための条件
この章では「美味しい冷凍キャベツを作るための条件」を3つご紹介していきたいとおもいます。
丁寧に水切りをする
流水洗いをしてキャベツをカットした後、キッチンペーパーで丁寧に水切りをします。
この時にキッチンペーパーで念入りに水分をふき取ると良いでしょう。
ジップロック内の空気を丁寧に抜く
ジップロックのチャックを閉める前に、まずキャベツを均等の厚さになるように袋の上から手で伸ばす。
次に、チャックの反対側からゆっくりと袋を押していき、チャックの側まで空気を抜いていく。
最後に余分な空気が入らないようにしながらチャックを閉める。
アルミトレイを利用する
冷凍キャベツを美味しくするために、急速冷凍をすると、日持ちが長くなり傷みにくいといわれています。
具体的には、キャベツをジップロックに入れた後、アルミトレイの上に置き、アルミトレイごと冷凍庫に入れて保存する方法が良いでしょう。
アルミは熱伝導に優れた金属です。したがって、冷気も伝導しやすくなり、急速な冷凍が可能になります。
冷凍キャベツがまずい時
前の章で「美味しい冷凍キャベツを作るための条件」を3つご紹介いたしました。この3つの条件が守られていない時に「冷凍キャベツはまずく」なります。
冷凍キャベツがまずい時には、①べちゃべちゃしてまずい、②苦味が出ている、③酸っぱいにおいがするなどの特徴があります。冷凍キャベツがまずい時には3つのNG現象が起こってるといえるでしょう。それは下記のとおりです。
- ①きちんと水切りが行われていない
-
→解凍するとべちゃべちゃする
- ②ジップロック内の空気の量が多い
-
→酸化が起きて苦味が発生している
- ③短時間で冷凍できていない
-
→酸化の原因の1つ
また、酸化が進みすぎると腐敗して酸っぱいにおいがします。
美味しい冷凍キャベツを作るためには、「美味しい冷凍キャベツを作るための条件」を守って、この3つのNG現象が起こらないよう十分にご注意ください。
冷凍キャベツが変色した。そんな時は
キャベツは冷凍すると、本来の緑色から茶色、黒色に色が変わることがあります。
これは、キャベツの表面が酸化することによるものです。
この章では、冷凍キャベツが、茶色や黒色に色が変わる場合、食べられるかどうかをみてきたいとおもいます。
茶色
冷凍キャベツが茶色に変色した場合は、冷凍焼けの状態で酸化しているだけなので食べることができます。
冷凍キャベツが茶色に変色した場合は、献立を工夫する必要があります。
「料理は目でも食べるもの」と言葉があるとおり、一生懸命に料理をしても、緑色のキャベツが茶色に変色している場合は、おいしさが半減してしまいます。
したがって、茶色に変色したキャベツを料理する際には、スープに色のついた鍋料理(豆乳鍋・トマト鍋・キムチ鍋など)、キャベツの色を意識させないメニューに使用するのが適しているといえるでしょう。
黒色
冷凍キャベツが黒色に変色した場合は、腐敗している状態なので食べられません。
黒色に変色したキャベツには、他にも特徴があります。
- 酸っぱい腐敗臭がする
- 黒いだけではなく赤黒い
- ドロドロしている
- ヌメヌメしている
という特徴があります。
キャベツを変色させない冷凍保存法
キャベツを変色させない冷凍保存法は、前の章で説明させていただいた「美味しい冷凍キャベツを作るための条件」をそのまま実践することです。
ぜひご参考になさってください。
冷凍キャベツのまとめ
この記事では、まずキャベツは冷凍できるのか、冷凍するとキャベツの栄養素はどうなるのかをみてきました。
次に具体的なキャベツの冷凍方法を詳しくご説明してきました。
また、冷凍キャベツを使用したメニューのご紹介や、変色したキャベツは食べられるか、また変色させないためにはどういった保存方法があるのかをご紹介してきました。
冷凍キャベツを作る際には、ひと手間を惜しまず丁寧に作れば、日持ちがして傷みにくいものが出来上がります。
冷凍キャベツは野菜が高騰(値段が高い状態)している時には、大変重宝するものです。
またキャベツを冷凍すると、細胞壁が破砕するので加熱時間が短く済みます。
忙しい朝に、弁当のおかずを作る際にも非常に便利です。冷凍キャベツを上手に活用して、美味しくて栄養満点の献立作りに役立ててみてはいかがでしょうか。