バタークリームのおいしさが見直されて、再び注目を集めている昨今。生クリームより腐りにくいといわれるバタークリームですが、実際の日持ちする期間はどのくらいでしょうか?常温と冷凍での保存方法とその賞味期限などについて解説します。
バタークリームはなぜ日持ちする?
生乳のみを使用している生クリームの消費期限は1日、長くても2日。同じ乳製品であるバターをたっぷり使ったバタークリームは、生クリームにくらべてなぜ日持ちするのでしょうか?
バタークリームで使う砂糖とバター
食べ物が腐るのは、雑菌などの微生物が増えてしまうことが原因と考えられます。微生物が増えるためには水分が必要ですが、砂糖と卵とバターでつくるバタークリームには水分がほとんど含まれません。80%以上が乳脂肪分であるバターと砂糖の中では微生物は繁殖しにくいと考えられます。
バタークリームで使う卵
また卵については、卵白に含まれる「リゾチーム」という殺菌効果のある酵素が働き、一定の温度下では微生物が繁殖しにくいといわれています。卵白だけを使うタイプのバタークリームは、卵黄を使うタイプのバタークリームよりも日持ちがするのは、そのためと考えられます。
バタークリームの特徴
バタークリームの特徴は日持ちがいいことだけではありません。バタークリームは生クリームとくらべて常温に置いても形が崩れにくいので、繊細なデコレーションをほどこすことができます。ウェディングケーキの飾りなどにも使われています。
また卵とバターがたっぷり入っているバタークリームは、乳脂肪成分のみでできている生クリームにくらべて、味にコクがあるのが特徴です。
ディモンシュの豆をミルクで煮出して、アングレーズを作ってバタークリームにしているので、コクがある丁寧でリッチなバタークリームに、香りのよいコーヒーの香りが生きてきます。 pic.twitter.com/9LPIWg0lXH
— いがらしろみ Romi IGARASHI (@romiunie) June 2, 2020
バタークリームの種類
バタークリームと一口にいっても、3種類あることをご存知でしょうか?基本の材料はバター、砂糖、卵と同じですが、卵白を使うと卵黄を微妙な違いがあり、出来上がりの風味や味も変わってきます。また含まれる水分の量も違うので、日持ちがしないバタークリームもあります。
イタリアンメレンゲタイプ
卵白と砂糖とシロップで作るイタリアンメレンゲに、バターを混ぜ合わせたイタリアンメレンゲタイプのバタークリーム。卵黄を使わないため仕上がりは真っ白。そのため色をつけたときの発色は鮮やかです。卵白だけを使っているので、口あたりがあっさりしているのも特徴です。
常温で置いても崩れにくくデコレーションしやすいバタークリームといわれています。3種類のバタークリームのうち、もっとも水分が少なく日持ちがするのもこのイタリアンメレンゲタイプ。
パータボンブタイプ
卵黄に温めたシロップを入れて泡立てたクリーム、パータボンブ。そこにバターを混ぜ合わせるので、コクのあるバタークリームになります。ティラミスやチョコレートムースなど、リッチな味わいにしたいときに使われます。
アングレーズタイプ
卵黄と砂糖、バニラと牛乳を使って作るアングレーズソースにバターを混ぜ合わせたバタークリーム。コクのあるリッチな味わいですが、牛乳を使っているので水分の量が多くて口どけがなめらかになります。
バタークリームそのもののおいしさが楽しめるので、バタークリームをたっぷり使うお菓子にむいています。3種類のバタークリームの中でもっとも水分が多いので、日持ちはしません。
バタークリームの保存方法と賞味期限
バタークリームのケーキや自分でバタークリームを作ったときは、どうやって保存すればいいのでしょうか?また日持ちはどれくらいなのでしょうか?
バタークリームケーキの保存方法
バタークリームケーキは常温で約3日置いておけます。ただし気温が18℃以上になると、バターが溶けはじめる可能性があるので冷蔵庫で保存しましょう。バタークリームケーキを冷蔵庫に入れると5日は保存できますが、スポンジ部分が乾燥しておいしくなくなるので、なるべく早めに食べることをおすすめします。
バタークリームの冷蔵保存
自分で作ったバタークリームの場合、デコレーションする前なら冷蔵で保存しておくことをおすすめします。約1週間保存できますが時間がたつにつれてバターが分離する可能性があるので、なるべく早めに使いましょう。
バタークリームは冷蔵庫に入れると固くなりますが、温度が上がると再びもとの柔らかくなめらかなクリームに戻ります。バタークリームを上手に戻すために必ず守ってほしいことがあります。それは、常温で時間をかけて戻すこと。
間違っても電子レンジで温めたり、湯せんにかけたりしないでください。そんなことをするとバターが分離してしまいます!また冷えて固くなったバタークリームを無理矢理混ぜてもいけません。一度バターが分離してしまうと、完全にもとに戻すのは難しいので、くれぐれも時間に余裕をもって戻してください。
- バタークリームを戻す方法
-
- 常温で、ゆっくり時間をかけて
- バタークリームを戻すときにやってはいけないこと
-
- バタークリームを電子レンジで温める
- バタークリームを湯せんにかける
- 冷えて固くなっているバタークリームを混ぜる
バタークリームの冷凍保存
バタークリームのおすすめの保存方法は実は冷凍。作りたてより風味は落ちますが、おいしく食べられます。使う分だけ解凍できるように、小分けにして冷凍するのがおすすめです。
バタークリームをジップロックなどの密閉袋に入れて、平らになるようにならします。なるべく空気を抜いて密閉して冷凍します。保存期間は約1か月。時間がたつにつれて風味が落ちるので、なるべく早く使いましょう。
まとめ
コクのあるおいしさが見直されているバタークリーム。バタークリームのケーキは常温で3日は保存できます。冷蔵庫に入れると5日。ただしスポンジが乾燥しておいしくなくなるので、なるべく早めに食べましょう。
バタークリームのおすすめの保存方法は冷凍です。保存期間は約1か月。ただし解凍するときは、常温でゆっくり解凍しましょう。電子レンジであたためたり湯せんしたりすると、バターが分離してしまう可能性があります。
ちなみに日持ちするのは、3種類あるバタークリームの中のイタリアンメレンゲタイプ。卵は卵白だけを使っているあっさりしたバタークリームです。それぞれ味に特徴があるので、用途にあったバタークリームを手作りしてみてはいかがでしょうか?