そら豆は春が旬の野菜です。漢字で書くと「空豆」もしくは「蚕豆」と書きます。
居酒屋さんで突き出しとしても多用されまる豆です。
飲み会などでそら豆が出てきた時に「そら豆は美味しい!」という意見と、「そら豆はまずい!」という正反対の意見がぶつかることも多いでしょう。
このように、そら豆ほど好き嫌いがはっきり分かれる野菜は珍しいのではないでしょうか。
そら豆の臭いが苦手
好き嫌いが分かれる理由としては「そら豆の臭いに対する印象の良し悪し」が大きいと思われます。
そら豆が苦手だという方は、「そら豆が臭い」という悪印象が強いからではないでしょうか。
たしかに「そら豆の匂い」は独特の特徴があり臭い部類に入ります。
しかしながら、そら豆は栄養素が豊富でカロリーが低い、うま味成分が多いので美味しいなどのメリットが大きい野菜でもあります。
また、デメリットである「そら豆のクサい臭い」は調理法を工夫することで、気にならないレベルにすることができます。
この記事ではそら豆のメリットやデメリットについて観察した後に、デメリットである「そら豆のクサい臭い」を軽減する方法や、そのレシピについて具体的にみていきたいとおもいます。
そら豆の栄養素と風味(そら豆のメリット)
そら豆のメリットとしては、①栄養価が高くて低カロリーであること、②うま味成分が多いので美味しいという2点が挙げられます。この章では、そら豆のメリットについて詳しくみていきたいとおもいます。
そら豆の栄養素
そら豆は栄養豊富な野菜です。タンパク質(肉体形成するために必要な主要成分)、ビタミンB(疲労回復効果)、ビタミンC(免疫力向上、抗酸化効果、美肌効果)、カリウム(血圧を下げる効果、塩分を体外に排出する効果)、マグネシウム(血圧調整効果、心疾患予防効果)、鉄分(貧血予防効果)などの肉体を形成して健康的に維持する栄養素が含まれています。
上記の重要な栄養素に加えて、更に、アスパラギン酸(疲労回復効果)、チロシン(メンタル安定効果)なども含まれています。したがって、そら豆は非常に栄養豊富な野菜の1つであると言えるでしょう。
※引用・参考HP 食品成分データベース そら豆・生
そら豆の風味(うま味成分)
そら豆が美味しい理由は化学的にもきちんと証明がなされています。そら豆にはうまみ成分である「グルタミン酸」が非常に多く含まれています。60~80㎎/100gというグルタミン酸の量は、キャビアに含まれているグルタミン酸の量に匹敵します。したがって、化学的数値が示す通りに、そら豆は美味しい豆だと言えるでしょう。
参考・引用HP 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター 食品別うま味情報
そら豆の臭いを例えるならどんなにおい?(そら豆のデメリット)
そら豆のデメリットは、そら豆にはクサい臭いがあることです。そのクサい臭いが具体的にイメージできれば、1度くらいトライをしてみる気力も出てくるかもしれません。この章では、別の表現で言い換えた具体例を使用して、そら豆のクサい臭いのイメージについてみていきたいとおもいます。
長時間靴下の中で蒸れた足の指の臭い
仕事から帰宅した後に、靴下を脱ぐと足から特に足の指の間から、むわっとした臭いが漂ってきます。ものすごい存在感のあるクサい臭いです。この表現で「そら豆の臭さ」を「ああ、あれか!」と納得できる方も多いでしょう。
部屋の中に洗濯物を干した時に洗濯物が臭くなった臭い
仕事が忙しすぎる時や、雨の日が続いた時に洗濯物を部屋に干す方は多いことでしょう。部屋干しの際に生乾きになり、洗濯物から独特の臭いがしてくることがあります。そら豆のクサい臭いは、その匂いと似ている言われています。
掃除をした後に、洗わないで放置した雑巾の臭い
拭き掃除をした後に、雑巾を洗剤で洗わないで放置して乾いてしまった雑巾の臭いです。小学校の大掃除で、雑巾を使用したのに、汚くなった雑巾を触るのが怖くなって、そのまま年越しをしてしまった経験がある方が、クラスの1人くらいはいたのではないでしょうか。あの強烈な臭いが「そら豆の臭い」に非常に似ていると言われています。
うす汚れた犬のような臭い
犬が大好きな方には、本当に申し訳ない表現になってしました。心よりお詫び申し上げます。しかしながら、「犬」というワードは、ワインの香りを表現する際にも使用されています。一流のソムリエの方がワインを褒めたたえるのために、「濡れた子犬の様な…」という表現を使うこともあります。そら豆のクサい臭いは、うす汚れた犬から漂うむわっとしたクサい臭いに似ています。
そら豆の臭いの成分
そら豆の独特の臭いは、50種類以上の成分により形成をされていると言われています。1つの匂いの成分だけではないため、「存在感があり印象深い嫌な匂い」が醸し出されるのでしょう。例えば、この50種類以上の匂い成分の中には、揮発性脂肪酸のインペンタノールとn-ヘキサノールという芳香成分が存在しています。インペンタノールはチーズやバナナ、ストロベリーになどに含まれる天然の香りの成分です。また、n-ヘキサノールは豆類特有のの青臭さの香り成分です。この様に類似していない成分が50種類以上も含まれているので、「そら豆の臭い」は非常に複雑になり結果的に臭くなっていると言えるでしょう。
※参考HP:内閣府食品安全衛生委員会 添加物評価書 2-ペンタノール
そら豆の臭い まとめ
この様に、そら豆の臭いは臭い部類に分類されます。しかしながら、そら豆を好きな方も多くいらっしゃいます。それは栄養が豊富で味が美味しいからです。
もし、そら豆の臭いを軽減したり無くすことが出来たら、「そら豆の食わず嫌いの方」も1度くらいトライしても良いと思うかもしれません。次の章からは、調理法に工夫を凝らして、そら豆の臭いを消す方法をいくつかご紹介していきたいとおもいます。
そら豆の臭いを消す方法
そら豆のメリットは、そら豆が栄養豊富で味も非常に美味しいことでした。また、そら豆のデメリットは、そら豆がの匂いが臭いことでした。そら豆は通常は生では食べない野菜※です。加熱調理をします。この加熱調理にもそら豆の匂い消し効果があります。このように、この章ではそら豆の唯一の欠点であるクサい臭いをどのように軽減、または消すことができる方法をいくつかご紹介していきたいとおもいます。
※ヨーロッパのそら豆(ファーべ)という品種があります。ファーべは生食できるそら豆です。
そら豆をさやごと焼く
そら豆のさや全体に塩を塗って水分を出した後に塩を流水で落とします。そのあとに、そら豆の両端をハサミでカットして、魚焼きグリル、もしくはオーブントースターで焼く方法です。この方法の目的はさやの中でそら豆を強めの火力で茹でている状態にすることです。そら豆の香り成分は、揮発しやすいものが多いといわれています。つまり、そら豆をさやごと魚焼きグリルや、オーブントースターなどで焼くことで、そら豆の独特なクサい臭いが揮発されます。つまり、そら豆をさやごと焼く方法は、そら豆の匂い消しの有効な方法だと言えるでしょう。
そら豆を茹でる際に日本酒を加える
そら豆を食べる時には「茹でる」ことが多いです。そら豆を茹でるゆで汁には、通常は塩だけが使用されています。ここに、日本酒を加えることで、そら豆のクサい臭いが軽減されます。それは日本酒にはマスキング効果があるからです。マスキング効果とは、肉や魚、野菜などにあるクサい臭いを和らげる効果のことです。マスキング効果のあるゆで汁をつくる際には、ゆで汁の割合は、水1リットル当たりに日本酒を100ml、塩を大さじ2を入れるのが理想的です。湯がき方としては、このマスキング効果のあるゆで汁を沸騰させて、そら豆を入れて加熱します。茹で時間は2分半から3分ほどです。ざるにあけて冷ませば完成です。
そら豆を油で揚げる
フライビーンズとは、そら豆を油で揚げたお菓子のことです。お酒のおつまみとしても有名です。ご家庭で作られる際には、あらかじめ電子レンジで水分量を減らしてから、油で揚げると時短でかつ安全に作ることができます。油で揚げることで、そら豆自体が高温になります。高温になることで、そら豆の臭い成分が揮発します。ですので、そら豆の臭いを除去する目的で、油で揚げることは有効な方法だと言えるでしょ。
油で揚げる際に、オリーブオイルを使用すると、その効果が一段と高まります。理由は、オリーブオイルはマスキング効果が高い油だからです。そら豆をオリーブオイルで揚げるケースは、高温でのクサい成分の揮発効果を活用するだけではなく、マスキング効果も活用できるので匂い消しにはオススメの方法になります。
そら豆が新鮮な状態の間に食べきる
そら豆が新鮮なうちは、クサい臭いも控えめなので、その間を逃がさずに食べきるのが良い方法の1つだと言われています。そら豆は「足がはやい(腐りやすい)」野菜だと言われています。購入して3日間以内に食べきるのがベストだと言えるでしょう。またそら豆は古くなると、少しづつ苦味が出てきてしまいます。苦いと感じる前に食べることを心がけましょう。
そら豆の薄皮を剝いて中身だけ食べる
そら豆に含まれるクサい匂いは、主に薄皮の部分に多く含まれます。したがって、薄皮を剝いて中身だけを食べるならば、クサい臭いはかなり軽減されるでしょう。しかしながら、薄皮を剝く方法はあまりオススメはできません。それは、そら豆の栄養素は薄皮の中に多く含まれるからです。
※薄皮を剝く時に「お歯黒」と呼ばれる部位も一緒に取り除くことができます。「お歯黒」とはそら豆の目にある筋の部分が熟しきって黒くなったものです。「お歯黒」は黒いので腐敗していると勘違いされやすいですが、単純に熟しているから黒いだけです。
そら豆の臭いが気にならないレシピ
前の章で、そら豆の匂いを消す方法について学んできました。その方法とは①そら豆を高温状態で加熱することにより、臭い成分を揮発させる、②調味料や油などに含まれるマスキング効果(肉や魚、野菜にあるクサい臭いを和らげる効果)を活用することです。この章では、そら豆の臭いを消す調理法を用いたレシピをご紹介させていただきます。
そら豆ハンバーグ
そら豆を刻んで、ひき肉、玉ねぎ、卵を入れてハンバーグを作ります。この材料の中で、卵の白身がマスキング効果を持っています。ですので、卵の白身がそら豆のクサい臭いを消します。したがって、そら豆ハンバーグは匂いを気にせずに、美味しく食べることができるレシピと言えるでしょう。
そら豆と干しえびのかき揚げ
そら豆と干しえびのかき揚げは、油で揚げて作ります。そら豆は高温で揚げた場合には、そら豆のクサい臭い成分が揮発して、気にならなくなります。揚げ物の油をオリーブオイルを使用すると、より一層そら豆の匂い消し効果が出ます。理由は、オリーブオイルで揚げた場合には、高温でクサい臭いが揮発するだけではなく、オリーブオイルのマスキング効果も働くので、より効果的にクサい臭いを消すことができるレシピになるでしょう。
そら豆のホワイトシチュー
そら豆のホワイトシチューは、主な材料にそら豆、鶏肉、にんじん、玉ねぎ、ベーコン、牛乳です。この中でマスキング効果(匂い消し効果)を持つのは、実は牛乳です。牛乳のマスキング効果により、そら豆のクサみが消えて美味しいシチューになります。したがって、そら豆のホワイトシチューは、そら豆の臭いが気にならないレシピと言って良いでしょう。
そら豆の臭いについてのまとめ
この記事では、そら豆のメリットとデメリットを学びました。メリットとしては、そら豆は栄養が豊富で、うまみが強いということでした。一方、デメリットとしては、そら豆にはクサい臭いがあるということでした。また、そら豆のクサい臭いを別の言葉で言い換えるならば、「長時間靴下の中で蒸れた足の指の匂い」など、嫌な表現になるほどのレベルでした。続けて、そら豆の栄養素やうま味を美味しく摂取するために、そら豆のクサい臭いを消す調理法などや、そのクサい臭いが気にならないレシピをご紹介させていただきました。調理法を工夫するなど手間や時間がかかるそら豆ですが、メリットの大きい野菜です。健康を維持するために、日々の献立に上手に組み込んでみてはいかがでしょうか。