たくさん買い込んだ牛肉を冷凍。
でもいざ使おうと思ってもなかなか上手に解凍できなくて、結局まずい牛肉になってしまった…。
こんなことなら牛肉を冷凍するんじゃなかった、と後悔した人は多いはず。
でも大丈夫。
牛肉は上手に解凍すればおいしさを損なわずに食べることが可能です。
この記事では牛肉の上手な解凍方法をシチュエーション別に解説。
- レンジを使って牛肉を解凍する方法
- 水を使って牛肉を解凍する方法
- 急いで牛肉を解凍する方法
など様々なパターンの牛肉の解凍法を解説しています。
牛肉を解凍するときの注意点
肉汁(ドリップ)に注意
肉や魚が入った食品トレーに溜まっている赤い液体「ドリップ」。
この正体は、血液ではなく食品の組織液で、旨みの元であるたんぱく質の一種ミオグロビンと水分で構成されたもの。
つまり、食品からドリップが流出すればするほど、旨みと水分の抜けたパサパサの触感になってしまうのです。
「旨みの元なら一緒に調理してしまえばいいのでは?」と考えたくなりますが、残念ながらドリップは肉と一緒に加熱すると、アクや雑味となってしまいます。
買ってきた時、既にドリップが出ている場合は、流水で洗い流すかキッチンペ―パーで拭き取ってから冷凍しましょう。
牛肉の常温解凍はできる?
実は、先に紹介したドリップが最も出やすいのが、常温での解凍。
冷凍庫内と室温ではあまりに温度差が大きいため、タンパク質が変性して細胞内に水分を留めておけなくなるからです。
そのため、牛肉の解凍において重要なポイントは、温度の変化をできるだけ緩やかにすることと言っても過言ではありません。
牛肉を解凍する方法とポイント
ゆっくり時間をかけて牛肉を解凍する方法は、
・氷水解凍(解凍にかかる時間:1㎏あたり約2時間)
・冷蔵庫解凍(解凍にかかる時間:普通の冷蔵庫の場合1㎏あたり約4時間)
このどちらの方法にも言える重要なポイントは、こまめに牛肉の状態を確認すること。
解凍の速度は、赤味、サシの多いもの、大きさ、冷凍・冷蔵庫の種類、その日の気温、もともとの賞味期限によっても差が出ます。
そこまで神経質になる必要はありませんが、タイマーを使うなどして、チェックを忘れないようにしましょう。
氷水解凍
食肉を扱う業者も推奨しているのが、氷水を使った解凍方法。
時間と手間はかかるものの、徐々に溶けていく氷を使うこの方法は、牛肉の温度をゆっくり上げていくのに非常に適しています。
- 食品用保存袋など、水が入らないビニール製の袋に牛肉を入れる
- 水と氷を入れた大きめのボウルに牛肉を入れる
袋に牛肉を入れる際は空気をなるべく抜いておくと、牛肉がボウルの中にきっちり沈んでまんべんなく氷水に触れるようになりますよ。
冷蔵庫解凍
こちらは手間もほぼなく道具もいらない、とてもお手軽な解凍方法です。
牛肉を冷凍庫から冷蔵庫に移しておく、これだけ。
チルド室がある冷蔵庫の場合は、もちろんそちらを利用してもOK。
その場合、解凍時間がやや長くなるかもしれないので、こまめに様子を見るようにしましょう。
完全に解凍した方がいい?
意外かもしれませんが、冷凍した牛肉を完全に解凍してしまうのは、実はNG。
なぜなら、牛肉が解凍しきってしまった状態で調理すると、冷凍せずに冷蔵保存していたものよりも、ドリップが多く出てしまうからです。
牛肉を包んだラップの中にドリップが溜まるまで放置してしまうと、せっかくゆっくり解凍した意味がなくなってしまいます。
指で少し押してみて、若干硬さを感じるくらいで解凍をストップしましょう。
牛肉を急ぎで解凍する方法
料理の直前になって「牛肉を解凍するのを忘れてしまった・・」と気づいた時でも、あきらめて他のメニューにする必要はありません。
時短の解凍方法は、
- 流水解凍(解凍にかかる時間:100gで約5~7分)
- 電子レンジ解凍(解凍にかかる時間:100gで約4~5分 ※レンジの種類による)
- 鍋&フライパン解凍(解凍にかかる時間:牛肉が1㎝以下の薄さの場合、約4~5分)
ゆっくり解凍する方法に比べて味は劣るものの、ドリップの流出を最小限に留めることも可能です。
流水解凍
流水解凍の手順は、氷水解凍とほぼ同じ。
袋に入れた牛肉が入った大きめのボウルをシンクに置き、水を流しておきます。
袋が浮いてきてしまう場合は、水の入ったペットボトルや食器などを重しにして、牛肉がボウルの中に沈むようにしましょう。
また、冬場は水が冷たいので、夏場などよりも少し長めに時間がかかるかもしれません。
電子レンジ
電子レンジでの解凍で気を付けたいのは、解凍のムラ。
解凍モード(なければ弱モード)にかけ、1分毎に表裏を返すことで、ある程度ムラをなくすことができます。
おまかせでできる解凍モード付きの電子レンジであれば、基本的にこちらで何か特別なことをする必要はありません。
しかし、牛肉の塊が大きいなど心配な場合は、何度か電子レンジを開けて牛肉を触ってみると良いでしょう。
鍋&フライパン解凍
フライパンの裏側に付いているアルミは、金属の中でも熱伝導率が高いため、牛肉の解凍にも効率よく用いることができます。
ただしこの方法を使えるのは、牛肉が冷凍の段階で薄く平らな状態になっている場合のみ。
ミンチやすき焼き用の薄切り肉、ステーキ肉であれば可能ですが、ブロック肉や骨付き肉などは辞めておきましょう。
底がアルミになっているフライパンを下に、アルミ製鍋を上にして牛肉を挟み、鍋にぬるま湯(35~40℃)を張ります。
たいていのフライパンは裏返すと少し角度がつくと思いますので、ガタつき防止のために、ふきんや鍋掴みなどを敷いておきましょう。
解凍した牛肉は再冷凍可能か?
牛肉の再冷凍は、食中毒の危険性を高めることになるので止めておきましょう。
食中毒を引き起こす細菌類の繁殖が進むのは、15~50℃と正に室温が当てはまる温度。
加熱するから大丈夫と思ってしまいがちですが、80℃以上の熱で死滅する細菌が多い一方、食肉に付着している細菌の中には、100℃の熱にさらしても生き残るものも。
事前に小分けにして冷凍しておけば、余分に解凍してしまうのを避けることもできます。
傷んだ牛肉の見分け方
解凍に失敗した、そもそも解凍するのが遅かったなど、様々な理由で牛肉が傷んでしまうこともありますよね。
解凍した牛肉が食べられるかどうかを見分けるポイントは、
- 臭い
- 色
- 感触
この三つをチェックして、せっかく作った料理を捨てるのはもちろん、お腹を壊したり、食中毒になってまう事態を回避しましょう。
臭い
最も分かりやすいのが臭い。
牛肉が腐った時は、誰が嗅いでも「これは食べてはいけない!」と一発で分かる強烈な異臭がします。
そこまでではなくとも、酸味の強いヨーグルトのような、漬けすぎた糠漬けのようなツンと鼻をつく臭いがした時も辞めておきましょう。
加熱したとしても腐敗菌は死滅しない上、さらにひどい臭いが部屋に充満することに・・・
色
新鮮な牛肉は、真っ白な脂肪と艶のある赤味が特徴。
一方傷んだ牛肉は、灰色がかった茶色っぽくなっていたり、ポツポツとした斑点状に黒くなっていたりします。
また、買ってきたばかりの牛肉がキラキラとした緑になることもありますが、これはカツオなどの赤味の魚でも見られるビルベルジンという酵素の作用である場合もあり、判断が難しいケースです。
感触
臭いと色をチェックしてみたけれど、いまいち判断ができない・・・そんな時は、思い切って指で触ってしまいましょう。
表面がぬるついていたり、糸を引いたりしていれば完全にアウトです。
また、ドリップがどろっとして粘度がある時も要注意。
洗い流したとしても牛肉の鮮度が戻るわけではないので、調理は辞めた方が賢明です。
牛肉の解凍方法まとめ
牛肉の解凍方法は意外と簡単です。
冷凍された牛肉を美味しくいただくにはやはりゆっくり解凍してくのがベスト。
しかし、急ぎで牛肉を解凍する場合も電子レンジやフライパンを上手に使っていくことで、早く美味しく牛肉を解凍することが可能です。
上手に冷凍を活用し、節約時短を実現してください。