焼き魚といえば大根おろし。サンマの美味しい季節には大根おろしが欠かせませんよね。大根おろしのおろし方には、辛くする方法と辛くならない方法があるのをご存じですか?
自分の好みの辛さの大根おろしを作る方法をご紹介します。
大根おろしの辛みの成分
そもそもなぜ大根おろしは辛くなるのでしょうか?同じように大根を生で食べるにしても、サラダにしたらさほど辛みを感じないのに、大根おろしにするととっても辛くなることがあります。
大根おろしのこの辛みの原因となるのはアリルイソチオシアネートという成分。ワサビやカラシの辛さとおなじ成分です。
アリルイソチオシアネートは本来、大根には含まれていない成分です。大根をすりおろしたり切ったりして大根の細胞が壊れると、大根の成分であるイソチオシアネートという物質とミロシナーゼという酵素が混ざって、アリルイソチオシアネートが生成されます。大根のイソチオシアネートは皮に近い部分ほど多く含まれています。
大根の辛みを見抜く方法や選び方
大根おろしはおろし方で辛くなったり、辛くならなかったりしますが、素材である大根にも辛みが強いものとそうでないものがあります。ちょっとしたコツで見分けらるので、大根を選ぶときの参考にしてくださいね。
辛みの強い大根の特徴
ひと昔前はやたらと辛い大根にあたることがありませんでしたか?辛さが売りの「辛味大根」は別として、今ではそこまで辛い大根は売っていませんが、少し辛い大根はありますよね。同じ大根なのに、なぜ辛みが強いものとそうでないものがあるのでしょうか?
それは大根が育った環境が関係しています。水分が足りない土の中で育った大根は、繊維がかたくなり成分がぎゅっと凝縮されます。つまり大根に含まれている辛みのもとになる成分も凝縮されます。夏の厳しい暑さで育った大根は、土の中の水分も不足しがちで辛みが強くなるといわれています。
辛みの強い大根の見分け方
実は水分が足りないなどのストレスを受けた大根は、見た目で判断することができます。大根の表面をよく見ると、くぼんでいる部分があるのにお気づきですか?わかりにくいときは、くぼみから白いヒゲのようなものが生えているときがあるので、ヒゲの根もとを見てください。
大根の表面についているこのくぼみが、規則性がなく蛇行してついていたり、螺旋状になってついていたりすると、辛い大根である可能性が高くなります。
辛みが強くない大根の特徴
大根の旬は11月から2月にかけて。その頃お店に出まわっているみずみずしくずっしり重い大根は、成長の過程で水分をたっぷり含んでいるので、それほど辛みが強くないといわれています。夏に収穫された大根にくらべて甘みも強く、生でも食べやすいのが特徴です。
辛みが強くない大根の見分け方
水分をたっぷり含んで辛みの強くない大根は、表面のくぼみが浅く、また規則正しくまっすぐに並んでいる傾向があります。
大根の辛みは部位によって変わる
お店で見かける代表的な大根は青首大根という品種です。長さはだいたい30~40cm。葉に近い部分と先端の部分では味に違いがあり辛みの程度も変わってきます。
大根の葉に近い部分
大根を3等分にしたときの葉に近い部分は水分が多いのが特徴です。甘みが強くて辛みが少ないので、みずみずしさが味わえます。生のままサラダにして食べてもおいしいでしょう。辛さをおさえた大根おろしを食べたいことは、この部分を使うことをおすすめします。
大根の真ん中の部分
大根の真ん中の部分は、甘みと辛みのバランスがとれていて、大根本来の味が楽しめます。やや柔らかく味がしみやすいので煮物やおでんなどにむいています。もちろんすりおろしても、ほどよい辛みの大根おろしができるでしょう。
大根の下の部分
大根は真ん中の下の方から先端のすぼまった部分にかけてが、もっとも辛みが強くなります。辛みの強い大根おろしを食べたいときはこの部分を使ってくださいね。
大根おろしの辛くなるおろし方
大根おろしを辛くするには、辛みの強い大根を選んで大根の下の部分を使いましょう。ですが大根おろしを辛くするには、素材の選び方以上におろし方が深くかかわっています。大根おろしを辛くするには、どんなふうおにすりおろせばいいのでしょう?
大根の皮は薄めにむく
大根の辛み成分であるイソチオシアネートは、皮に近いほど多く含まれているので、皮はなるべく薄めにむきましょう。
大根の細胞を壊しやすくする
大根の細胞が壊れるほど、辛み成分であるアリルイソチオシアネートを生成しやすくなります。そのために輪切りにした大根をさらに縦に3~4等分して、細胞を壊しやすくしてすりおろします。
直線的におろす
同じく大根の細胞が破壊しやすいように、すりおろすときは適度に力を入れて、上下、左右に直線的に動かします。
食べる直前におろす
アリルイソチオシアネートは揮発性なので時間がたつほど辛みが減っていきます。生成されてから5分ほどでもっとも辛くなるので、食べるときに辛みのピークが来るように直前にすりおろすといいでしょう。
辛くならないおろし方
辛くない大根おろしを食べたいときは、大根の葉に近い部分から真ん中の部分を使いましす。辛くならないおろし方は、辛くなるおろし方にくらべて、優しく、ゆっくりを心掛けるといいかもしれません。
大根の皮は厚めにむく
辛み成分イソチオシアネートをなるべく取りのぞくために皮は厚めにむきます。
大根の細胞を壊しにくくする
大根の細胞をなるべく壊さないように輪切りにした状態でおろします。とはいえ太い大根だと持つ手が疲れてしまうので、持つのが大変なときは無理をせずに縦半分に切ってからおろしましょう。
優しく、ゆっくりおろす
こちらも大根の細胞を壊さないように、優しく、ゆっくり「ののじ」を描くようにすりおろします。せっかちなのでつい素早くおろしてしまうという人は、利き手ではない方の腕を使っておろしてみてくださいね。
辛い時の対処法
大根おろしが辛すぎて食べられないときや、子どもが食べられるように完全に辛みをとりたいとき、どうすればいいのでしょうか?手間をかけずに大根おろしの辛みをとる方法をご紹介します。
電子レンジで大根おろしを加熱する
せっかく苦労してすりおろした大根おろしを電子レンジで加熱する?とびっくりするかもしれませんが、どうしても辛くて食べられないときの応急処置として、覚えておくといいかもしれません。
やり方は電子レンジで大根おろしを1分ほど加熱するだけです。大根おろしの辛み成分は熱を加えることによって蒸発するので、あっという間に辛みが抜けます。ただし大根に含まれるビタミンCは熱に弱いので、加熱することでビタミンCが減ってしまいます。
おろしてから時間をおく
大根おろしの辛み成分アリルイソチオシアネートは揮発性なので、30分から1時間ほど放置しておくと辛みが抜けて食べやすくなります。
大根おろしの味はおろし器で変わる
おろし器によっても、大根おろしが辛くなったり、辛さがおさえられたりすのです。たとえば銅やステンレスなどの目の細かいおろし器でおろすと、大根の細胞が壊されやすく辛みが強くなります。それに対してセラミック製のおろし器は、おろすのにやや時間がかかることもあって、辛みをおさえた大根おろしができあがります。
大根の味と触感がいきる鬼おろし
「鬼おろし」というおろし器をご存じですか?ギザギザの歯が鬼の歯のような形をしている、木製のおろし器。昔からある道具ですが、今家に持っているという人は少ないかもしれません。
ギザギザの歯で粗くおろすので、大根の細胞が壊れにくく、辛みをおさえた大根そのものの味とシャキシャキした触感が楽しめます。
まとめ
大根おろしの辛みは、辛み成分アリルイソチオシアネートの量で変わります。大根そのものや大根のどの部分を使ったかも関係しますが、大根おろしの辛みの強さは、おろし方によるといってもいいかもしれません。大根おろしを辛くする方法と辛くならない方法のコツをつかんで、そのときの気分やレシピにあった大根おろしをおろしてくださいね。