お赤飯は、平安時代中期より「お祝いの御膳」として人々に食され、当初は赤米を焚いていました。
もち米と小豆で炊くようになったのは、江戸中期になってからです。
赤米の時代よりお赤飯は「お祝い御膳」の役割を担ってきました。
この記事ではお赤飯に合うおかずついて詳しくみていきたいとおもいます。
お赤飯に合うおかずを選ぶ基準
ハレの日のおかず
お赤飯は、魔除けの力が持つ「赤い色」を食することで厄を遠ざけ、幸せを招くという由来がある食べ物です。
したがって、お赤飯は「ハレの日」に食べるごちそうとして位置づけられてきました。
つまり、お赤飯はお祝い事に欠かせない「お祝い御膳」。
もちろん、日常的にお赤飯を食べるのが好きという方もいらっしゃるでしょう。
しかしながら、お赤飯と一緒に食べるおかずを考える際には、いわゆる「ごちそうメニュー」を思い浮かべる方も多いとおもいます。
特にお祝い事でお赤飯を召し上がる場合には、「お祝い御膳」である特長を鑑みて献立作りとされると良いでしょう。
甘い味付けのおかず
お赤飯は、ごま塩を振りかけて食べるので塩味が強めです。口の中がしょっぱく感じてしまいます。
そのため、甘い味付けのおかずと一緒に食べると、しょっぱく感じていたものが上手に中和されて食事がより進みます。
したがって、甘味のあるおかずは、お赤飯に合うおかずといえるでしょう。
汁物・スープ
お赤飯を食べていると、ごま塩の塩味のせいでのどが渇きます。また、お赤飯に使われるもち米のもっちり感も、のどが渇く原因の1つとなります。それは、お赤飯を食べ進めていくと口の中の水分が奪われていくからです。
したがって、お赤飯を食べると水分を欲する状態になるといえるでしょう。
そのため汁物があると、お赤飯を食べているときにスムーズに食事を採ることができます。つまり、汁物はお赤飯に合うといえるのです。
野菜中心の煮物や和え物
お赤飯はごま塩を振りかけるので、塩味が強めに出ます。
そのため塩分を体内から排出できるカリウムも一緒に摂取する必要があるといえるでしょう。
和食であるお赤飯に合うカリウムの野菜メニューとしては、煮物や和え物が最適。
野菜のメニューは、同時にいろどりを華やかにする役割も果たすことができます。
お赤飯は「赤色」を持つ食べ物です。
したがってカリウムを取り入れると、目にも美味しい献立作りが可能になるといえるでしょう。
お赤飯に合うメインおかず【肉料理】
この章ではお赤飯に合う肉料理のおかずについて、具体的にみていきたいとおもいます。
豚肉の味噌漬け
お赤飯はごま塩の塩味が特徴的な食べ物です。
その塩味と甘味を合わせることにより、赤飯をより美味しく召し上がることができます。
豚肉の味噌麹漬けは、味噌やみりんや砂糖など甘みのある調味料を使用して作られます。
したがって、塩味と甘みのちょうど良いマリアージュ(料理を掛け合わせることで出来る美味しい組み合わせ)になります。
また、お赤飯にはビタミンBと炭水化物、豚肉にはビタミンBが多く含まれます。
ビタミンB群と炭水化物を一緒に摂取すると、炭水化物がエネルギーに変換されて疲労回復に非常に良い組み合わせです。
つまり、栄養面からみても、豚肉の味噌麹漬けはお赤飯に合うおかずと言えるでしょう。
牛肉のしぐれ煮
牛肉のしぐれ煮も、調味料にみりんや砂糖など甘味のある調味料を使用して作られます。
したがって、この両者も塩味と甘味のちょうど良いマリアージュになります。
また、牛肉のしぐれ煮には、鉄分が豊富な牛肉を使用しています。
お赤飯に含まれるビタミンBと鉄分を一緒に摂取すると、貧血予防やメンタルの安定効果が期待できます。
栄養面からみても、牛肉しぐれ煮はお赤飯に合うおかずと言えるでしょう。
お赤飯に合うメインおかず【魚料理】
この章ではお赤飯に合う魚料理のおかずについて、具体的にみていきたいとおもいます。
タラの西京焼き
タラの西京焼きは、白味噌やみりん、砂糖といった甘味のある調味料を使用しています。
お赤飯と組み合わせると、塩味と甘味のマリアージュが成立します。
また、タラはビタミンBを多く含む魚。
したがって、タラの西京焼きとお赤飯の組み合わせは、炭水化物やビタミンB群の相乗効果で疲労回復に非常に良い食べ合わせといえるでしょう。
栄養面からみても、タラの西京焼きはお赤飯に合うおかず。
ブリの照り焼き
ブリの照り焼きは、みりんや砂糖といった甘味のある調味料を使用しています。
お赤飯と組み合わせると、塩味と甘味のマリアージュが成立します。
また、ブリもビタミンBを多く含む魚です。お赤飯と一緒に食べると、炭水化物とビタミンB群の相乗効果で疲労回復にとっても良い食べ合わせになります。
お赤飯に合うおかず【副菜】
お赤飯に合う副菜は、野菜をふんだんに使用した「煮物」と「和え物」です。お赤飯の「赤色」を基調として、「緑色」「オレンジ色」「茶色」等、野菜の色が入ると見た目にも美味しい食べ合わせになるといえるでしょう。
小松菜の白和え
小松菜は鉄分・ビタミンBを多く含んでいる野菜です。砂糖醤油の甘しょっぱい味が、お赤飯の塩味とマッチします。お赤飯の炭水化物・ビタミンBと、小松菜白和えの鉄分・ビタミンBを一緒に摂取すると、疲労回復だけではなく、貧血予防やメンタルの安定効果を得ることができます。また、白和えに使われている、小松菜やにんじんにはカリウムが多く含まれています。したがって、お赤飯にごま塩を振りかけすぎても、カリウムが余分な塩分を体外に排出してくれます。ですので、小松菜の白和えはお赤飯に合うおかずといえるでしょう。
筑前煮
筑前煮は、甘味のある調味料(みりん・砂糖)が使用されています。お赤飯と一緒に食べることで、塩味と甘味がマッチします。また、根菜にはカリウムが含まれています。お赤飯にごま塩を振りかけすぎても、根菜のカリウムにより余分な塩分が体外から排出されます。したがって、栄養面からみても筑前煮はお赤飯に合うおかずとえいるでしょう。
お赤飯に合うおかず【汁物・スープ】
この章ではお赤飯に合う汁物・スープについて詳しくみていきたいとおもいます。
はまぐりのお吸い物
お赤飯を食べ進めていくと、そのもっちり感により口の中が水分が奪われます。
ですので、水分補給のためにはまぐりのお吸い物が適していているといえるでしょう。
また、はまぐりには鉄分やビタミンBが豊富です。
したがって、お赤飯と一緒に食べると疲労回復・メンタル安定・貧血予防といった効果が期待できます。
加えて、ハマグリには疲労回復物質であるアスパラギン酸も豊富。
冒頭で、お赤飯は「お祝い御膳」であると述べました。
あさりのお味噌汁
お赤飯により、口の中から奪われる水分補給には、あさりのお味噌汁も適しています。
味噌はビタミンBが豊富ですし、あさりもビタミンBが豊富です。
したがって、あさりのお味噌汁をお赤飯と一緒に食べると、疲労回復・貧血予防・メンタル安定などの効果が得られます。
同時に、あさりはカリウムも豊富に含んでいて、お赤飯にごま塩を振りかけすぎても、余分な塩分を体外に排出してくれます。
栄養面からみても、あさりのお味噌汁はお赤飯に合うおかずといえるでしょう。
お赤飯に合うおかず【もう一品】
お赤飯に合うもう一品のおかずとして、小皿の一品料理をご提案したいとおもいます。
お赤飯に合う小皿料理の基準は、酢の物であることです。理由は、お赤飯はもっちり感のある食べ物ですので、食べ進めていくと口の中の水分が奪われていきます。
水分補給をしながら、同時に口の中に清涼感のをもたらす「酢の物」はお赤飯に合うおかずといえるでしょう。
紅白なます
紅白なますは、酢を使用しているので、清涼感があるおかずの1つ。同時に砂糖による甘味もあるので、お赤飯の塩味とは良い食べ合わせといえます。
また、大根の「白色」、にんじんの「赤色(またはオレンジ色)」が、お赤飯の「赤色」と一緒に並ぶことで、色鮮やかな食卓を演出することができます。したがって、目にも美味しい「食べ合わせ」といえるでしょう。
紅白なますは縁起物のおかず。
細長くカットされた大根とにんじんが「紅白の水引」を表しています。
たこときゅうりの酢の物
たこときゅうりの酢の物は、酢による清涼感があるおかず。お赤飯と一緒に食べると水分補給や、清涼感により食が進む組み合わせと言えます。
同時に調味料の砂糖の甘味がごま塩の塩味と相まって、味覚的にも非常に良い食べ合わせ。
たこは、昔から「多幸」と漢字をあてることで、幸せを願う縁起物のとして知られてきました。お赤飯は「お祝い御膳」です。この両者は縁起物としても良い食べ合わせだといえるでしょう。
お赤飯に合うおすすめの献立
この章では、今まで列挙してきたおかずを用いて、献立を考えていきたいとおもいます。下記の様な組み合わせの献立が考えられます。
献立1
- お赤飯
- タラの西京焼き
- 筑前煮
- はまぐりのお吸い物
- 紅白なます
献立2
- お赤飯
- 豚の味噌麹漬け
- 小松菜の白和え
- あさりの味噌汁
- たこときゅうりの酢の物
献立3
- お赤飯
- ブリの照り焼き
- 筑前煮
- はまぐりのお吸い物
- 紅白なます
献立4
- お赤飯
- 牛肉のしぐれ煮
- 小松菜の白和え
- あさりの味噌汁
- たこときゅうりの酢の物
お赤飯に合うおかずと献立まとめ
この記事では、お赤飯に合うおかずについて、おかずを選ぶ基準と具体的なおかずを挙げてみてきました。
また、例として挙げたおかずを組み合わせた献立も、ご提案させていただきました。
最近では、学校給食においても、卒業式などのお祝い事の際にお赤飯が提供されています。
お赤飯は日本の伝統的な「お祝い御膳」です。うまく献立に取り入れて、折々の祝い事に活用すると良いでしょう。